レトロゲームをプレイ:MOTHER1・最終回(後編)

MOTHER1

ついに、『MOTHER』プレイ日記の本当の最終回です。

どうか最後までお付き合いください。

 

―――ニンテンたちの前についに姿を現した『それ』は、まさしく”異形そのもの”でした。

そして、『それ』が放つパワーの片鱗は、心を蝕むような怪音となって襲い掛かります。

 

 

 

さあ、いよいよ侵略者の首領『ギーグ』とのご対面です!

 

最後の敵であるギーグは、計り知れないパワーの持ち主です。

こちらはまず、ニンテンが全体回復ができるアナに『クイックアップ(『スピード』を強化)』、

アナは全員のダメージを半減する『サイコシールドβ』、ロイドは敵の攻撃を警戒して

前もってアナに『きずぐすり』を使う準備をします。

 

ニンテンたちが身構えるよりも早く、ギーグが”話しかけて”きました。

口調は穏やかであるものの、その響きには(もし例えようがあるのならば)今までに感じたことの

無いほどの、底知れぬ『悪意』が感じられます。

そして、その言葉を言い終えるかどうかという瞬間……!!

 

 

 

 

 

ギーグから『正体不明の攻撃』が飛んできました。

うまく言葉では表せませんが、まるで凄まじい『悪意そのもの』を直接叩きつけられたような

衝撃がニンテンたちを襲います。

 

ギーグの行動パターンは、RPGとしては珍しく”たった一つ”しかありません。

しかし、その行動が極めて危険であり、この『正体不明の攻撃』の効果は

  • 全体攻撃
  • ”ディフェンス・耐性無視で”80~90の固定ダメージ
  • 攻撃を完全に無効化し反射するPSI『パワーシールド』で防げない

という、反則級の凄まじい性能を持っています。

 

耐性付加ではなく、直接ダメージをカットする『ガード』『サイコシールド』ならダメージを

軽減可能なので、初手で使わないと余程レベルが高くない限りは壊滅状態になります。

 

圧倒的な力を前に、なんとか立っているような状態のニンテンたちに構わず、ギーグは

一方的に話を続けます。

 

この「幼い私を育ててくれた」という言葉からすると、何らかの事情で地球に降り立った

幼体のギーグをジョージとマリアが保護して、親代わりとなったという事なのでしょうか?

そして、成長したギーグは2人を自分の故郷に連れていき、そこでジョージは「地球を侵略する」

という計画を知ってしまい、ギーグの故郷の情報や技術を盗んで脱出。

当然、その時マリアも連れて行こうとするも、マリアは”ギーグの母親として”残った。

(※ゲーム中の文章から推測できるパターン)

もしくは、『その逆』なのかもしれません。

曾祖父ジョージは、その誠実さと情報の正確さで評判の新聞記者だったといいます。

ジョージは過去の『あの事件』以前の怪奇現象を事細かく調べ上げ、それを快く思わなかった

ギーグの血縁がジョージ夫妻を誘拐。

ジョージとマリアは幼いギーグの親代わり(教育係?)として働くことになるも、そこで2人は

ギーグたちの侵略計画を知ってしまう。

できるだけ情報や技術を持って脱出を試みるも、マリアはすでにギーグに対する”愛”が生まれて

いたため、自らは「宇宙の果て」に骨を埋めることを決意し、ジョージはたった一人で脱出した。

(※『MOTHER百科』の前日譚から推測できるパターン)

 

自分が失踪していた期間の事を「誰とも口を利かずに」教えなかったのは、ただ単純に

”この出来事を誰も信じることはできない”からだったのかもしれません。

どちらにせよ、それからの経緯は『マジカント』と『イヴ』の創造に繋がるのでしょう。

 

ギーグの破壊的なパワーを前に防戦一方のニンテンたち。

回復はアナに任せて、ニンテンは全力で攻撃、ロイドは敵が落とした『レーザービーム』で

反撃を試みますが、ギーグの宇宙船はあまりにも巨大すぎて、かすり傷しか付けられません。

そうこうしているうちに、またもやギーグが語り掛けながら襲い掛かります。

 

たしかに、ニンテンたちには『力』がありません。

ギーグには存在している圧倒的な『パワー』も、『技術』も、『戦力』も、それらのうちを

何一つ持ち合わせてはいません。

……それでもニンテンたちは、この絶望的な戦いを続けることを選択します。

戦わなくては、帰るべき場所も、愛する家族も、何もかもが滅ぼされてしまうのですから……。

 

ギーグからの暴威的な『悪意』に晒され続けるニンテンたち。

しかし、なんとここで、ギーグから驚くべき提案をされました!!

その内容は……

 

 

 

―――マリアの面影を残すニンテン”だけを”助けるというものでした。

しかし、その提案を受け入れる事なんてできません。

なぜならそれは、ニンテン以外の存在を全て抹殺するという通告なのですから……。

 

 

ニンテンはギーグの提案を拒否し、全力でバットを振るいます。

しかし、その『力』すらもギーグにとっては文字通り「蚊に刺された」ようなもの。

まったく決定打とはなりません。

そして……。

 

最後通告だと言わんばかりにギーグは口を閉ざし、ニンテンたちを始末すべく攻撃します。

ニンテンのPSIは力が弱く、生命線だったアナのPSIも、じきに力が枯渇してしまいます。

ロイドのバッグにある『きずぐすり』も、程無くして底を突くでしょう。

そして、ニンテンたちが倒れれば、この地球上でギーグを止められるものはいなくなります。

……万策は尽きました。

 

 

 

 

 

 

しかし、不思議とニンテンたちに”絶望はありませんでした”。

どうしようもないほどに圧倒的な『力』を前に、ニンテンの心に浮かんだのは……

 

 

マイホームで、自分の大好物を作って待っているであろう『”ママ”』のこと。

そして……

 

意識を失う前にテディが言った、「”『力』だけでは”勝てない」という言葉でした。

 

ギーグの纏う『力』は、ニンテンの『武器』も、アナの『PSI』も、ロイドの『兵器』も、

ニンテンたちが持つ『力』を何一つ寄せ付けません。

しかしたった一つだけ、ギーグに届きうる『パワー』を、確かにニンテンたちは持っていました。

そう……

 

 

 

 

 

 

 

―――あの『”歌”』を!!

 

 

ニンテンたちは傷の痛みを堪え、ギーグに聞こえるように全力で歌います。

しかし……

 

ギーグからの波動によってひるんでしまい、歌いきることはできませんでした。

それでも、先ほどまでニンテンたちがぼんやりと感じていた『何か』は、いま確かに

『希望』となって心の中に芽生え始めました。

 

なぜなら、冷徹に口を閉ざしたままであったギーグが、歌い始めた瞬間、”動揺したように”

口を開いたのですから。

 

 

相変わらずの凄まじいギーグの攻撃。しかし、それでもニンテンたちは”歌い”ます。

ニンテンたちの”愛”のこもった『歌』のパワーの前に、ギーグが心に纏う『悪意』は貫かれ、

その冷徹な感情に乱れが生じました。

 

アナは力を振り絞ってみんなを回復し、ニンテンとロイドはただひたすらに歌いました。

ギーグは目に見えて動揺し始めるも、なお凄まじい力を叩きつけます。

 

ニンテンたちの『歌』を凄まじい『力』で否定しようとするギーグ。

しかし、ニンテンたちはどんなに傷付いても立ち上がり、歌います。

そして、『歌』が完成に近づくにつれ、ギーグは声にならない叫びをあげました。

 

ニンテンとロイドは妨害を受けてしまいましたが、アナはなんとか歌いきることができました!

マリアの子守り歌『Eight Melodies』を歌い終わった瞬間、あたりに凄まじい衝撃が放出され、

ギーグはがっくりとうなだれました。

そして……

 

 

ギーグは、凄まじい『力』を持つ自分が、虫けらと見下していた存在の『歌』に敗れたことが

信じられないようでした。

曾祖母マリアの”愛”を、ギーグの『悪意』は受け入れることができなかったのでしょうか……?

 

その言葉が意味するのは、いつかニンテンたちへの復讐を示唆するものなのか、それとも、

この地球そのものへの『”逆襲”』を予言するものなのか?

その答えが出る前に、ギーグは驚くべき行動に出ました!

 

 

 

 

 

ギーグはそう言い放つと、ニンテンたちの怪我が見る見るうちに治っていきました!

先ほどまでニンテンたちを抹殺すべく攻撃してきたギーグの、まさかの行動に仰天する

ニンテンたち。

理由を聞こうとする前に、ギーグはマザーシップに乗り込み……

 

 

 

 

 

 

 

ただ静寂だけを残して、遠い空に飛び立っていきました。

 

 

 

残されたニンテンたちがこちらに振り向くと、ここでスタッフロールが流れます。

そう、この『MOTHER』には明確な”エピローグ”は一切存在しません。

 

倒れたテディの容体は?アナの母親や、捕らえられた人々はどうなったのか?

ロイドはこのあと、どのように成長したのか?ニンテンは無事に帰れたのか?

そのようなことは、海外版以降のソフトでしか語られることはありません。

 

しかし、このファミコン版『MOTHER』というゲームは、RPGであってRPGではありません。

それはさながら、ゲームという名目で”『MOTHER』という世界の舞台”が用意された

『冒険小説』のようなものに例えられると思います。

 

ゲームの進行をある程度は自由にさせ、”自分だけの冒険”を『想像』させることによって、

点と点同士を”プレイヤー自身が”『ストーリー』で繋げることを想定した内容になっています。

 

この冒険を終えた少年少女たちが、どのようなエピローグを迎えたのか。

それはきっと、何にも代えがたい最高のハッピーエンドだったのだろうと『想像』しましょう。

……さあ、名残惜しいですが、そろそろ締めに入りましょう。

 

未来のことは、誰にもわかりはしません。

もしかしたら、この冒険よりもつらく、悲しいことだってあるかもしれません。

しかし、それと同じくらい”楽しいこと”や”嬉しいこと”もあるかもしれません。

 

ただ確かなことは、ニンテン、アナ、ロイド、テディ、そして、この世界に存在する者の

ひとりひとりが、これから再び”未来に向かって”生きていくという事だけです。

 

―――この『”母なる”地球ほし』で。

 

 


 

・あとがき

というわけで、2か月近い『MOTHER』のプレイ日記でしたが、いかがでしたか?

自分は、『MOTHER』という作品の魅力を4割どころか2割も表現できていなかった

感じています。

 

ゲームを進めるうえで本当に何も関係が無い世間話や、ウイットに富んだ小ネタ、メタ発言や

裏設定らしきものなど、NPCとの会話がそのまま世界観の広がりとなっているため、記事としての

読みやすさを優先していて、それらを全くと言っていい程に紹介することができなかったのが

心苦しいです。

 

たしかに、今からプレイする分には不便だったりクセが強すぎるかもしれませんが、

”自分でプレイし、世界観を体験することによって”、この『MOTHER』という作品を

本当の意味で楽しめると思います。

 

さて、次回のプレイ日記ですが、”いろんな意味で”伝説のアレにする予定です。

どうか期待せずにお待ちください。

 


 

・続き⇩(コブラチーム版ジョジョの奇妙な冒険)

https://kimagure-azuma.jp/retro-cobrajojo-1/

・前回⇩

https://kimagure-azuma.jp/retro-mother1-20/

 

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