・前回のあらすじ
深王の策により、『魔』という存在との戦いを余儀なくされたアステリア。
そして、深王の要請で迷宮に進入したという『ある人物』を連れ戻すこととなるのだが……。
・前回
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第3階層の重篤なネタバレがあります
「……あついです」
「い、一面マグマの海……! こんなところをどう進めば!?」
「……流石に眩暈がしてきたわね」
(フラッ……)
「キルシェ! 気を確かに!」
「だ、大丈夫……。でも、本当にどうやって進めばいいの?」
「……マグマに浮かぶ板状の岩石? ふむ……」
「形が不自然な気がしますね。これは何なのでしょうか」
「おふねみたい」
「ねえ、これ足跡じゃない?」
「……この足跡、新しいものだわ。我々のようにここで観察し、
あそこから走って……ここで跳んでいる。歩幅と深さでわかる」
「まさか!? これに乗って進んでいったと!?」
「木や泥の船をここに浮かべるわけにはいきません。
覚悟を決めて乗り込むしかありませんね」
「し、信じらんない。勝手に対岸に向かっているわ」
「今乗り込んだ時、足元で不自然な感触がした。
これは溶岩石で覆われているだけで、元はリフトか何かだったのかも」
「ここはどういう場所だったんでしょう」
「自然が創ったとは思えない人工的な扉があるくらいですからね。
もしかすると、神代の遺跡だったりするのではないでしょうか」
「そうかもしれませんね」
「む? あんなところに宝箱が……」
「でも、どうやって行けばいいの? さっきみたいな足場が無い」
「位置がわかれば十分よ。あそこに置けるということは、あそこに
行ける手段が必ずあるということなんだから」
「行き止まりか」
「テュール様、足元に穴がありますよ」
「ほんとだ。なんだろ」
「お葉、どうですか?」
「うーん……、マグマが眩しすぎてよく見えません。
何かあるような感じはありますが……」
「調べてみる?」
「穴は左右と正面か。……いま気付いたけど、なんか甘い匂いがしない?」
「そういえばそうね。これは竈の跡? いや、位置が不自然か」
「わたくしは正面を調べましょう」
「それでは、ボクは右の方にします」
「あたしは左を見てみるか」
「わたしとプレールは後ろを見張りましょうね」
「はーい」
「ん、これは……さつまいも? ……や、やばい、すごくおいしそう」
「お、おいしい! ……って、これひとつだけしかないの?」
「あっ! キルシェさんずるい!」
「えっ、どうしたんですか?」
「えっ、いや、その、これは……」
「おいも……」
「キルシェさん……」
「やれやれ」
「ちょっと大人げ無いんじゃない?」
「ち、違うの! これは……」
「おいも……」
「な、泣かないでよ! 街に戻ったら好きなのたくさん奢るから!」
「やったあ」
「はあ……。体は元気になっても、心と懐が寒い……」
「……さすがに意地悪すぎたかな」
「なにをおごってもらおうかなー」
「プレール、少し加減してあげてくださいね」
「これ以上は持てないか……。一度帰還しましょう」
「『あの人』はどこまで行っているのでしょうか……」
「足跡からして、『彼』は間違いなく単独でここにいる。
つまり、我々以上に慎重な進軍をしているはずよ」
「……でも、なんで独りで? 未開の迷宮で、どんな危険があるのかも
わかっていないはずなのに」
「そこが腑に落ちません。しかし、何かしらの『目的』を持って
潜っているのは確実と思われます」
「追いついた……」
「……やはり、貴方でしたか」
「クジュラさん、こんばんわ」
「まったく……。あんた、なんだってこんなところに……」
「止めに来たと予想しているのなら、その通りよ。
この先は……、―――『ある存在』によって危険地帯となっている」
「侵入者というのが貴方でよかったと思います。
貴方ならば、並みの人間よりは話を分かっていただけると―――」
「―――なんですって?」
「待ちなさいよ。……あんた、何のことを言ってるの?」
「ど、どういことなんですか?」
「……クジュラ。貴方も我々も、無用な荒事など望まない。
そう思っているのならば、話してもらおうかしら。……その訳を」
>ユーンは弩にゆっくりと手を掛ける
「テュール様……! 落ち着いてください……!」
(……真剣で、とても強い眼差しだ。
命を賭してでも己の使命を果たそうとしている顔か……)
「姫様……? グートルーネ姫のため?」
「クジュラさんと、……元老院が?」
「……っ! さっきから聞いていれば、何の答えにもなってないでしょ!?」
「……お止めなさい、キルシェ。今、彼が言った事は事実です」
「そ、それはそうですが……!」
「ぐーと、ぐー……、白いおひめさまの所に行くんですか?」
「……そうなりますね」
「どいつもこいつも、わけわかんないわ……!」
「むしろ好都合だったと思いましょう。彼女、グートルーネ姫の口から
元老院のお触れの真相を聴けるのでしょうから」
(『己の目と耳で確かめろ』……か。そして、『己の正義』……)
「左様ですか。では、お願いいたします」
(……さて、ここでの問題は彼女から何を聴けるのか、か。
一言一句を聞き逃さないようにしなくては)
「久方ぶりの重責でしたが、無事にお渡しできました」
「すごくきれいなところでした」
「謹んで伺いましょう」
(……やっぱり、この姫も何かを隠していたのか)
「真実の歴史……!?」
(……? 今の言い方、なにか引っ掛かる気がする)
「……かしこまりました。催促するようで恐縮ですが、続きをお願いします」
「大異変の……」
(世界樹はかつて守護神と呼ばれていた……。
そして、それはただの樹ではなく、意志を持った生物であった、と。)
(『魔』と呼ぶ化け物? 元老院はそこまで把握しているのか?)
「テュール様、そのお方が深―――」
「(しーっ。今は静かに聞きましょうね)」
(『ザイフリート』……、それが深王の名?
……ならばなぜ、彼は自らを『深王』としか名乗らなかった?)
「なるほど……。それが、かつての大異変の真相ですか」
(……大異変って、詳細が伝わっていないほどの混乱があったんじゃ?)
「えっ……?」
「……グートルーネ王女、そのお言葉の真意は?」
「様々な手って……」
「……グートルーネ王女、『魔』なるものを如何に相手取るというのです?」
「がんばっておめめパッチリしてました」
「ちょ……! 失礼だからそういうことは言わないの!」
「まあまあ、プレールの努力を誉めてあげて」
(あたし”ら”は……? しかも、深王の行為を”水臭い”と……?)
(……今の言葉で、グートルーネ王女の正体を掴めた気がする)
「……フローディア殿。その思想には共感の意を示しますが―――」
「……」
>シルヴィアは静かに溜息をつく
「……善処いたしましょう。皆さん、行きますよ」
「……ええ」
~元老院近くの通り~
「……姫様」
「約束しちゃってよかったんですか?」
「わかっています。しかし、あのように答えるしかありませんでしたので」
「いくら何でもあれは意固地すぎやしない!?」
「まったくだわ。敵の詳細がわからぬまま兵を送り込んだって、
返り討ちになるのは火を見るよりも明らか」
「しかし、状況がわかっていようと少数だけで挑んで全滅すれば、
今度は『その存在』を知るものが居なくなってしまう」
「ちょっと、それじゃ……手詰まりなんじゃないの?」
「……姫様、テュール様。おふたりならば、……どうしますか?」
>しばしその場には、遠くからの喧騒だけが響く
「……」
「……決めかねますね。しかし、必ず決断しなければならない時が来る。
人類の存亡がかかっているのならば、尚更です」
「……すみません。余計な事を」
「いえ、むしろ直接疑問をぶつけてくれたことに感謝します。
……そう、『決断をする』。その覚悟が必要だとわかりました」
「決断……。そうね、戦では何度もやってきたことなのに」
「このままクジュラさんのところに行きますか?」
「その前に、深王の所に顔を出しておきましょう。
フローディア殿の言伝もありますからね」
「一応、クジュラはあそこに留まってくれたみたいだしね」
「深王さま、こんばんわ」
「海都元老院、長のフローディアより、意見をお伝えすべく出頭いたしました」
(……フローディアという名前に反応は無いか。
100年前の深王と関係が深い人物と考えていたけど、アテが外れたわね)
「……左様でございますか。では、我々は失礼いたします」
(……)
(な、なんなの? 深王も……)
「……取り付く島もありませんでしたね」
「……状況は、我々の予想以上に悪いとみるしかありません」
「互いの意見に一定の理はある。しかし、互いに決して歩み寄ろうとしない。
……下手をすれば、『魔』を討つなどより先に―――」
>海都と深都で潰し合い、戦争になりかねない。と、ユーンは呟く
「……そんなのはいやですね」
「元老院も深王も、なんであんなに盲目的なの?」
「思想や環境の違い、とも取れますが、そうさせる『何か』があるのでは?」
「それは……?」
「わからない。しかし、想像もできない『何か』があるとだけは感じる。
……キルシェの占いに出た『きっかけで立場が変わる』とは―――」
「海都につくか、深都につくか……てこと?」
「どうすればいんだろう……」
「……今、この状況に必要なのは”手綱を握れる者”。
それをできるのが我々だけならば、―――『決断』をしなければならない」
・続き⇩
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・詳細なキャラ設定⇩
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