・前回のあらすじ
白亜の森の探索を中断し、魔物討伐大会に参加したアステリア。
己の力を振るうべく、第3階層に足を踏み入れるのであった。
・前回⇩
https://kimagure-azuma.jp/play-sq3r-60/
第5階層のネタバレが含まれます
「よし、危なげなく斃しましたね」
「よゆーのよっちゃんです」
「プレール、弾薬は使いすぎてない?」
「えーっと、道具の消耗は……。まだまだ余裕がありますね」
「ちょっとエーテル使いすぎたな。節約しないと」
「さて、今の魔物で何ポイントかしら。こっちでも数えておきましょう」
「今の魔物の群れで、ちょうど30ポイントを越えたようですね」
「うーむ、まだまだですね。このまま最下層へ行きましょう」
「はあ、やっぱり気合を入れても暑いものは暑い……」
「お葉、そこに攻撃を!」
「よし、怯んだ……! チャンスです!」
「ぶっ飛べやぁ!!」
「こいつ、意外と図体だけなのね! 一気に決める!」
「適度に距離を取って! 毒を喰らえば致命傷になる!」
「やりましたね」
「お葉、ポイントは?」
「ちょっと待ってください、今数えますので。
えーと……、すごい! もう100ポイントを越えました!」
「他のギルド、開始時点からかなり減ってるわね……」
(やはり、始めから大見栄を切っているような者たちでは駄目だ。
もっと実力があり、信頼のおけるギルドでなければ……)
「あ。あのグループは確か、灯台でのクエストの……。
たった2人3人のパーティでここまで喰い込んでくるとはね」
「やはりヴィクトリア王女率いるロイヤルガーズたちがライバルか。
皆さん、まだ体力はありますね?」
「大丈夫、栄養補給もできてる」
「まだまだ元気いっぱいです」
「開始は午後7時だったから……、あと17時間ほどですね。
無理のないペースで戦いましょう」
「ん? 監視員がこっちに来るわね。なにか違反でもあったかしら」
「……あ、もう既定の24時間が経ったようですね」
「いつの間に……。まさかここまで戦えるようになっているとは」
「もうちょっと狩りたかった」
「ここまで強くなれるなんて思わなかったな……」
「これ以上の長居は無用ですね。我々も帰還しましょう」
「……この”生き残った”って、どっちの意味なのかしら」
「迷宮は危険地帯ですからね。……やはり、幾人かは亡くなっている様子です」
「これに参加したからには、彼らもそれなりの覚悟があったでしょう。
さあ、結果を聞きましょう」
「おお? まさか彼らがここまで追い上げてくるとは」
「ゾディアックとモンクの2人でここまでやるなんて……!
すごすぎるわ」
「かっこいいなあ」
「やはり、彼女の手腕は目を見張るものがある……」
「ヴィクトリア王女たちの実力、もしかしたらボクたち以上かも……」
「たった3人の部隊でここまでできるのだものね。
これだけの実力者たちと知り合えたことは幸運だったわ」
「……?」
「やったあ」
「ほ、ほんとに1位になっちゃった!」
「しかし、他のギルドの方たちもすごかったですね、姫様」
「……」
「……あの?」
「ん? ええ、そうですね。皆さん、本当にお疲れさまでした」
「しかし、惜しかったわね。あと1体でも斃せれば300越えだった」
「ま、まさかそれを気にしてたの!? まったくもう……」
(いや、おふたりの様子はそんなのじゃ……。でも、いったい何を?)
「ふふ、拍手喝采ですね。我々も負けないように拍手しましょう」
「花火あげますか?」
「危ないのでやめてください!」
「ほらほら、酒場に報酬を貰いに行きましょう」
「いや、主催側からそういう通達来てんでしょうに」
「正直者が多いことが我々の良いところでしてよ、マスターさん」
(……)
「……さあ、どうでしょうね」
「”勝負は時の運”と言いますし、今回は巡り合わせが良かっただけですわ」
「そんな小説のモノローグのような……」
「マスターさんって、カタコトなのに微妙に語彙力があるから不思議なのよね」
「ふぁ……、テュール様、うち眠たいです」
「本当に頑張ってくれたものね」
「お葉、私と姉上は少し用事がありますので、先に宿へ戻ってください」
「え? はい、わかりました」
「姫様、起きてください。朝ですよ」
「ごはん食べにいきましょう」
「う、うぅ~ん」
「もう5分だけ……」
「まったく、あんな疲れた状態であちこち駆け回るから……。
冒険者ギルドとか港とか元老院とかで、あんな遅くまで何やってたのよ」
「それはまたあとで……」
「もう……。とりあえずフロントに、出発が遅れると伝え―――」
>その瞬間に扉が勢いよく開け放たれ、2人の男がなだれ込む!
「アステリアの諸君、ご健勝のようだな!」
「噂は本国まで届いているぞッ!!
素晴らしいな!!」
「うおあぁっ!? ど、どちら様ですか!?」
「おはようございます」
「あ、あんたらは……っ!」
「!!!」
>シルヴィアとユーンは勢いよく飛び起きる!
「ははは、まさかお前たちが寝坊するとはな、テュール、シグドリーヴァ!」
>高貴そうな長髪の男は爽やかな高笑いをする
「ば、馬鹿兄―――いえ、兄様がた。お久しぶりですわ……!」
「え……!?」
「女部屋にノックもせずに……! 相変わらずのようですわね!!」
「ま、待ってください! まさかこの方たちは……!?」
「そうだ! そのふたりの兄、第1王子リーヴとその弟スラシルだッ!!」
「シグドリーヴァよ、相変わらずその恰好―――」
>第1王子リーヴはシルヴィアの姿と、その指に光る指輪を見て一瞬 目を丸くする
「……実に可愛らしいな! またお兄様と呼んでくれたまえ!」
「お断りします。……で、本日はどのような御用件で」
「うむ! まずはここに至るまでに起こった数々の波乱万丈を
知ってもらうべく、船に乗り、そして航路での我々の冒険譚を―――」
「用件だけを手短に! お願いいたします」
「そうか。まずは……お前たちの名声は、すでにこのアーモロードに留まらず
海の向こうまで轟いている。武者修行も十分だろうと父上はおっしゃった」
「……そうですか。光栄な評価ですわ」
「それと、祖国で近々”大規模な葬儀が必要になる”かもしれん。
お前たちと臣下、キルシェにも是非”参列してほしい”とのことだ」
(……!)
「あ、あたしらも葬儀に?」
「お葬式ですか? どうしましょう、テュール様」
「どうだろうか。船はいつでも出られる状態だが―――」
「……」
>シルヴィアは2人の兄を強く見据える
「……我々には、この地で為さねばならぬことがあります。
その申し出は受けられません」
「ほう。では、その『為すべき事』とは……なんだ?」
「……詳しく申し上げることはできません。
しかしそれは―――我々の、決着をつけなければならぬ事なのです」
「……」
>妹の強い眼差しを受けながら第1王子リーヴは優しく微笑み、一歩下がる
「そこまで言うのならば、無理強いはするまい。行こう、我が弟スラシルよ!」
「うむッ!! では壮健でな、我らの妹とその友よ!! さらばッ!」
>兄たちは颯爽と部屋から退出し、アステリア一同は静寂に取り残される
「……えっと。初めてお会いしましたが、その……」
「わざと貴方とプレールには紹介させなかったのです。
特に、お葉の過去を詮索させるわけにはいきませんでしたからね」
「かっこいい方でした。うちもああなりたいなー」
「ダメよ、プレール。貴女は貴女のままが一番いいの」
「朝っぱらから嵐が通り過ぎたわ……。
まったく、いずれ国を率いる王子があれでいいのかしら」
「キルシェさん、いくら馴染みの方でも……!」
「ああ、お葉。今から手紙を書くので、出してきてもらえませんか。
この手紙は―――」
>シルヴィアはお葉に耳打ちする
「え? しかし、直接では―――」
「戻ってこられても面倒だから。いい? しっかり頼んだわよ」
「わ、わかりました。行ってきます」
~アーモロード沖の船上~
「……」
「なあ、我が兄よ。シグドリーヴァは昔の姿に戻っていたな。
フレイヤのことを受け入れることができたのだろうか」
「フレイヤと揃いの、あの指輪を身に付けていたくらいだ。
心配せずとも、もう彼女らが己の心を挫くことはないだろう」
「お久しぶりでございます。リーヴ様、スラシル様」
「御雷よ、久しいな。もうその変装は解いてもいい」
>エメリィと名乗っていた老婆は、一瞬のうちに黒装束の男へと姿を変える
「では、そのように」
「妹たちはこのアーモロードの地下に眠るという『魔』なる存在と
戦おうとしている。お前のこの情報に、間違いはないのだな?」
「はい」
「暗号で”祖国で戦争が起きようとしている”と伝えても
アーモロードに留まろうとしたのは、やはりそれが理由か」
「どうする、我が兄よ。どちらも捨て置けるようなものではないぞ」
「……妹たちの『戦』を信じよう。彼女たちが祖国に帰った時に
目にするのは、いつもと変わらぬ祖国の姿だ」
>リーヴは手すりに寄りかかる
「そして私とお前はいつものように、妹の気も知らずにヘラヘラしている
馬鹿な兄共のまま、だ。彼女たちにはそう思わせておけばいい」
「ふ……。馬鹿な兄、か。そうだな」
「……3年前の戦争、あの時の我々は遠い国へ留学していた。
故に、愛する妹のひとり……フレイヤをみすみす喪った」
>第2王子スラシルは手すりを掴み、いともたやすく握り潰す
「これから進攻しようとしている国の将は、3年前の戦争でテュールと
シグドリーヴァが滅ぼした国の王族だったそうだな? ……繰り返させはせん」
「ああ。そして奴等は思い知ることとなろう。凍てつくほどの恐怖と、
身を焦がす灼熱の中で―――我が銘、『微笑み』の所以を……な」
「……む? リーヴ様、マントの裏に何かが」
「何? ……手紙か」
>手紙にはシルヴィアとユーンの臣下をアーモロードに送る旨と、
兄たちの健闘を祈る言葉が綴られていた
「これは……、あのお葉というシノビの仕業か?
ふっ、御雷よ。あやつはお前の技を越えたかもしれんぞ」
「…… 一層精進いたします」
「む? この紙は2重になっているのか。……おっと、これは一本取られたな」
「……「我々はいつまでも子供ではない」、か。
どうやら、我々の馬鹿兄貴という仮面は見破られてたようだ」
>リーヴとスラシルは、小さくなっていくアーモロードの街に目を向ける
「……せめてお前たちの『戦』に幸運を祈ろう。
祖の星々よ、―――荒野征く旅人を導く光なれ」
「え!? それじゃあ、エメリィさんがお兄さんの臣下だって知ってたの!?」
「ぜ、全然わからなかった……」
「たぶん、勝手に出て行ったわたしを監視するために寄こしたのでしょうね」
「あの、テュール様はどうやって見破ったんですか?」
「姿は違うけど身のこなしが似ていたから、もしかしたらと思って」
「すっごいおばあちゃんなのもウソなんですか?」
「ボロを出すかと思ってわざと175歳だの膝の負傷で、などと
出鱈目な紹介をしたのですが、見事に適応されてしまって……」
「彼、冷徹なようでノリが良い性質だったのは意外だったけど、
仲間になってくれたおかげで要所要所で助かったわ」
「まあ、質のいい武器とかアムリタとか、あの人がいないと
あまり手に入らなかったかもしれないからね」
「さあ、迷宮へ行きましょう。時間はあまりないかもしれません」
・続き⇩
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・詳細なキャラ設定⇩
https://kimagure-azuma.jp/sq123r_chara/
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