・前回のあらすじ
B8Fの捜索を進め、ようやく目的の人物の居場所に目星をつけたアステリア。
万全を期して臨むため、準備を進めるのであった。
・前回⇩
https://kimagure-azuma.jp/play-sq3r-29/
第2階層のネタバレが含まれます
(あの夢のようにするわけにはいかない……。覚悟を決めなくては)
「お葉、少々気を張りすぎていますね。まずは落ち着きなさい」
「エーテルの残りは……十分」
「プレール。武器の最終点検は?」
「だいじょうぶです」
「……これより我々は、オランピアの隠れ家に攻め込みます。
待ち伏せをされている可能性が高いので、警戒して下さい」
「……抜け道の先、異常はありません。このまま先導します」
「居た……!」
「狙撃態勢を維持したまま待機。いつでも撃てるように」
「はい……」
「我々は冒険者ではなく、元老院の使者として貴女を捕らえに来ました。
おとなしく捕らわれるか、さもなくば血を見ることとなりましょう」
「ここの位置はすでに衛兵隊および元老院が把握している。
一個中隊が到達するのにさほど時間は掛からないでしょうね」
「ひそ……(キルシェさん、今の話は本当ですか?)」
「(たぶん、ふたりはハッタリで動揺を誘おうとしてるのよ。
……でも、あいつがこの程度で動じるのかどうか)」
「……! 全員集合し、戦闘態勢!」
「くっ、今度は何を呼ぶつもり……!」
「あの動き方……、古代魚の巣のFOEじゃないわね。
B5FのFOEのと似てる……?」
「……なぜ、そのような言葉を吐く?
数多の冒険者を手に掛けておきながら、なぜ―――」
「姫様、来ます!」
「―――。 迎え討て!! 障害を排除し、オランピアを捕えよ!」
「道中で何度か遭遇したFOE……、こちらに情報はほぼ無いわ。
安全を取ってすぐに挑まないという方針がここで仇になったか」
「硬そうです」
「ワニに似たFOE……、弱点は氷か?」
「情報が無いから、とにかく手探りでやるしかないわね」
「強化状態になったことを加味してもこの程度の衝撃。
見た目ほど耐えられない攻撃というわけでもないみたいだけど……」
「しかし、彼奴は飢えによって狂暴化しているようです。
手負いとなれば……おそらく手が付けられなくなるでしょう」
(今朝のあの最悪と言いきれる悪夢が、もしも本当に吉兆ならば……。
……今は亡き父よ、どうか私に力を!)
「奥義・陽炎改め、極意・分身!」
「……!?」
「お葉ちゃんが本当に増えた!?」
「これは……! 熟練したシノビが使うという!?」
「しかし、この術は気力も体力も大きく消耗すると聞くわ。
お葉、どうするつもりなの?」
「姫様。ここはボクに任せてもらえませんか?」
「……わかりました。あなたの力、存分に見せつけて差し上げなさい!」
「「……ここだ!奥義・飯綱!」」
「本人同士だから、連携が完璧だわ!」
「でも、あの技は効くの……?」
「まさか本当に石化を決めてしまうとは……。なにか吹っ切れたみたいね」
「お葉」
「「はい」」
「素晴らしい技を見せていただきました。これからも期待していますわ」
「そういう話は後ででしょ? まだ……あいつが残ってる」
「……オランピアよ。これこそが我が臣下、お葉の持つ力が一端。
そしてここにいる我々は、それぞれが同等以上の力を持つ者と思いなさい」
「この音、いや、声はいったいどこから来ている……?」
「頭のなかがほわんほわんして不思議です」
「わずかに全身で振動を感じる。でも、それにしては声量が……?」
「……100年に渡り、多くの犠牲を出さざるを得ぬほどの訳である、と?
貴方は何者です。そして、『深王』なる人物とは?」
(この声の主ならば、オランピアよりは話ができそうね。
いったいどんな人物なのかしら)
「……!? これはいったい……!」
「きれいなたまですね」
「海王……ケトス。それが、貴方の名ですか」
「……深都は本当にあるのね。そして、そこを統べる王も」
「不思議と心地よい声だったわ。是非とも、お目に掛かりたいところね」
「彼とは必ずや相見える宿命にある。その時の楽しみとしておきましょう」
「……! しまった、逃げられる!」
「……完全に見失った。どうしましょうか」
「ケトスはオランピアに「深王の下へ戻れ」と指示していました。
必然的に、我らの当初の目的通り、深都を目指せば良いのでしょう」
「そうなるわね」
「これ、さわって大丈夫なのかな」
「……うん、大丈夫そう。一応傷つけないように持っていきましょ」
「これ以上は何もありませんね。野営地点に戻りましょう」
「オランピアを発見し、拘束しようとしたところ、このようなことが―――」
「そちらの方にも新たな手掛かりが? わかりました。
元老院で落ち合いましょう」
「我々も、特に用は残っていませんね。帰還しましょう」
「クジュラの方は、何を見つけたんだろ」
「ボクたちでは発見できなかったものかもしれませんね」
「うちらって、だれも行ったことのない場所まで行けたんですよね」
「……そういえばそうですよね」
「こんな状況でなければ、前人未踏の偉業を素直に祝おうと思うのにね」
「ほら、キルシェ。その珠を彼女に渡しなさい」
「も、もうちょっとだけ……! どんな技術なのか気になるの!」
「はあ、しょうがない。プレール、思いっきりくすぐっちゃいなさい」
「あいあいさー」
「ありがたく頂戴いたします……」
(……幸運、か。あの衛兵にも、ほんの一欠けらの幸運があれば
何かが変わったであろうに)
「ときに元老院の長よ、先ほどミッションの話が出ましたね。
この場で詳細を伺いましょう」
「海流!? あんなものをどうにかできるの!?」
「まるで伝承やお伽噺に出てくる魔術のようだわ」
「ふぁんたじーやめるへんもあるんだよ」
「それ、真逆の意味のセリフが混ざってませんか?」
「(B6Fで海流に囲まれた場所って……あそこ?)」
「(ふむ……、もう少し彼の話を聞きましょう)」
「やはりその場所か。我々の予想通り、あれは台座だったのね」
「……これもしかして、この珠があれば深都に一番乗りできるってこと?
深都の失われた技術にどのギルドよりも先に触れられるってこと?」
「キルシェ。下手に欲望なんか出すものじゃないでしょう」
「前々から思ってましたけど、キルシェさんって根っからの研究者ですよね」
(……そういえば、キルシェに訊こうとしてたことがあった気がする。
何だったかしら)
「わたくしも姉上も、生まれ出でし時より戦いを揺り籠としてきました。
今更並みの危険など、何を恐れることがありましょうか」
「そうね。それが、我々の背負う『業』なのだから」
(……『業』、か)
「おまかせくださりあそばせ」
「あらあら、シグドリーヴァのものまねね」
「……わたくし、そのような言い方になっていましたか?」
「こっちに来るまでは、そんな感じだったと思うけど」
「(……やはり、別人を演じ続けるというのは難しいものだ)」
「……うん? あ、あの、今「100年も待った」って……!?」
「いや、もはや歳バレなんてレベルじゃないと思うんだけど……!」
「まあまあ。うちのギルドにも、175歳のベテランシノビがいるじゃない」
「そ、そういえばそうだった……! 特殊な人が多すぎる……!」
「ほら、ここで騒ぐのはおよしなさい。街で準備をしますよ」
「おやつもたくさん買っちゃおう」
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・詳細なキャラ設定⇩
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