・前回のあらすじ
B8Fへの階段を発見したアステリア。
未知の罠が潜むであろう水底に踏み込んでいくのであった。
・前回⇩
https://kimagure-azuma.jp/play-sq3r-28/
第2階層のネタバレが含まれます
また、ページ下部の文章は閲覧注意です
「オランピアはおそらく、この階のどこかにいるはずです」
「いきなり分かれ道か……」
「まずはどちらに行きましょう」
「ど、ち、ら、に、し、よ、お、か、な。……やっぱり、右で」
「それじゃあ、左を警戒しながら進みましょう」
「いきどまり……」
「でも、これで背後から不意打ちされる危険は減った。よくやったわ」
「これ、何かしら?白……いや、透明な結晶でできた柱?」
「上から海水の水滴が落ちてきているようですね。
もしかしてこれ、塩でできた柱なのでは?」
「自然が作った天然の結晶か……。神秘的なものね」
「色は完全に無色透明、妙な匂いも無し。口に含んで良さそうですね。
少なからず消耗しているはずなので、今のうちに塩分補給をしましょう」
「でも、あんまり汗かいてないですよ?」
「気温が低いから気付いてないだけで、実際はかなり脱水してるはずよ」
「そうね。この塩で体力をつけておきましょう」
「海都で買った塩もいい品物でしたが、これはそれ以上ですね」
「環境の違いかしらね。この塩は自然界から直接採取したものだから」
「もっとなめればもっと体力がつくのかな」
「さすがに過剰摂取になっちゃいますよ……」
「そういえば、ペットや家畜が人間の顔を舐めようとするのって、
塩分補給をするためだって聞いたことがあるな」
「だから、うちの家の犬もバターをなめようとしてたんですね」
「もしかすると、迷宮の魔物もここで塩分を採るのかもしれませんね。
鉢合わせする前に、そろそろ行きましょう」
「ちょうどいい大きさの結晶もあったし、これはあとで使いましょうね」
「あの敵、始めの方で遭遇したものと似てますね」
「似てるからと言って行動も同じとは限らないわ。気を付けて」
「赤いほうは氷が効いたけど、こいつはどうだろう」
「攻撃が来ます!」
「こんなもの喰らうか」
「かっこいい……!」
「弱点は赤いのと変わらなそう?」
「今のうちに違いを比べておきたかったのですが、
下手に戦いを長引かせるのも危険ですね」
「結局、赤い珊瑚とあまり変わらないように思えましたが……」
「変な技を持っていなければ、だけどね」
「どういうわけか、普通の攻撃しかしてこなかったものね」
「ここは採集地点ですね」
「なにが採れるかな」
「……? 姫様、そっちの方で人の気配がします」
「……! ねえ、あんた怪我してるんじゃないの!?」
「……自虐などして何になるというのです?
皆、その覚悟でこの指令を遂行していたのではないのですか?」
「そのとおり。生き延びたのならば、斃れた者たちのために
生きて帰る義務があなたにあるはずよ」
「お葉、メディカはありますね?」
「はい、まだ残っています」
「いえ、傷は思った以上に深そうだわ。メディカⅡを渡してあげて」
「……寝ちゃったわね」
「ここで寝ちゃってだいじょうぶなのかな」
「どこまで有効かはわかりませんが、迷彩を施しておきましょう」
「そうね。みんな、適当に小枝を伐採してきてくれる?」
「またFOEか……」
「先への道は柱の死角になっているみたいね」
「動きは単純なので、やりすごしてから行きましょうか」
「いきどまり……!?」
「背後にはFOEが……!」
「……いえ、進む道はここで合っているようです」
「……! こんなところに抜け道が!?」
「これも、追跡者への罠とみていいでしょうね」
「これは……、上りの階段ですね」
「なんで下りじゃないんだろう」
「B7Fの地図には不自然な空白がありましたね。
おそらく、その場所に通じているはずです」
「立体構造の迷宮か……。厄介なものね」
「しかし、ここはそれほど複雑ではなさそうね。焦らず行きましょう」
「なるほど……、ここに出るんですね」
「あの時の錯乱した衛兵が言っていた場所か……」
「未知の脅威がここにあるという前提で探索します。警戒を」
「この狭い区間にたくさんの海流……。何かあるわね」
「でも、どうやって進むんでしょう」
「あの流れを止める術があればいいのですがね」
「青い海獣……」
「この辺りは、B5Fの魔物と似ているものが多いですね」
「さっきの珊瑚みたいに、弱点もあまり変わらないはず」
「よし、効いてる……!」
「煙幕もよく効いてます」
「このまま一気に畳みましょう」
「煙幕のおかげで被害はありませんでしたが、あの牙の攻撃は
危険な予感がしますね」
「ええ、一度に2度も攻撃をしてきたわね」
「まともに喰らえば、ボクたちはともかく姫様たちでも危険ですね」
「最初の通れない抜け道、ここと繋がってたんだ」
「そこのFOEを排除できれば、一気にここまで来れたのね」
「ちょうど野営地点に着いたので、少し休息をとりましょう」
「うーん……」
「お葉、どこか具合でも?」
「少しだけ、頭がぼーっとする感覚がして……」
「カゼかな?」
「無理もないわね。こんな環境と状況じゃ、体調も悪くなるわ」
「あまり無理な探索はせず、手がかりを見つけたら一度帰還しましょうね」
「……? 衛兵だわ。何かあったのかしら」
(あの慌てよう……、もしや?)
「ついに追いつきましたわね……!」
「これでようやく……」
「この先に潜伏しているというのならば、相応の罠があるはず。
警戒して進みましょう」
「武者ぶるいしています」
「……この静けさ、不自然ですね」
「みんな、物音を聞き逃さないように。警戒態勢で進軍するわ」
「あそこにいるの、衛兵じゃない?」
「先発部隊の方でしょうか。何か情報をくれるかもしれません」
「我々はギルド『アステリア』です。状況を教えていただけませんか?」
「行き止まりって、そこの南の道の先のことよね。
あんまり長い道のようには見えなかったわ」
「しかし、ここに来るまで誰も姿を見かけていないということは……」
「……抜け道?」
「おそらくね。そして、オランピアは未だ、その先に潜伏しているはず」
「ありました!隠し通路です!」
「予想通りですね。全員、警戒して通りなさい」
「この道の構造……、上の階に似た場所がありましたよね」
「ようやく位置を掴んだわね。オランピアがいるのはこの中心部よ」
「今度こそ……狩る」
「先ほどの衛兵たちに道を見張らせて、我々は準備をしに戻りましょう」
「さて、宿に行く前に装備の見直しと道具の補充と……」
「ねえ、ユーン。衛兵がこっちに来てるけど」
「あの方は、確か……」
「おお、あなたでしたか。よくぞ無事に戻られましたね」
「元気になってよかったです」
「ええ。あなたこそ、お勤めがんばってくださいね」
「斃れた者たちは、あなたの未来に幸福を願っている。
どうか、そのことを忘れずにおいてください」
「衛兵さん、さようなら」
「……あたしたち、ちゃんと人を助けることができるんだね」
「無論ですわ。この一件が済むまで、我々は衛兵隊と一蓮托生なのですから」
「生きて帰るためにも、よりすごーい品物を見繕ってくださりますね?
美人の店主さん」
「長く一緒にいるけど、軽口を叩いてるユーンなんて初めて見たわ」
「……す、すみません。頭痛が酷くなってきたので、先に宿に戻ります」
「それはいけませんね。わたくしも一緒に戻りましょう」
昏い水林の中、お葉は独り立っていた。
ふと背後を見ると、その視界には無残に喰い散らされた3つの肉塊が映る。
突然の出来事に全ての感覚を失う。
夢なのか?現実なのか?脳は思考を巡らせるのみで、答えを見出さない。
すると突然、絹を裂くような悲鳴が木霊する。
お葉は肉体を無意識に動かし、悲鳴の主に視線を移す。
見てはいけない。見てはいけない。見てはいけない。
意志とは裏腹に、まるで操られているかのように、それを見つめ続ける。
―――そこには、生きながら喰われようとするキルシェと、名状し難い怪物が居た。
「たすけて」と聞こえた気がした。お葉は動かない。
「たすけて」と聞こえた気がした。お葉は何もしない。
「たすけて」と聞こえた気がした。なにもわからない。
「どうして」と言われた気がした。声の主は、肉塊となり果てた。
主君のふたりと、臣下のひとりと同じように。
???「―――う、お葉!」
「―――!!? は、はあっ……!! はぁっ……!?」
「酷くうなされていましたよ。……よほど恐ろしい夢を見たのですね」
「ほら。お水持ってきたから、ゆっくり飲んで落ち着いて」
「あ、ありがとうございます……」
「あんたも、よっぽどまいってたのね」
「オランピアの居場所に攻め込むのは、少し遅らせましょう。
まずあなたの体調を整えなくては」
「……あの、キルシェさんって、夢占いとかはできますか?」
「専門外だからなあ……。まあ、話してみてよ。少しは気が晴れるでしょ」
「今見た夢の内容は、……大切な人たちが失われていくというものでした。
ボクはそれを見ているだけで、何もできなくて……」
「大切な者の死を夢で見るのは吉兆であるとされますが、状況が状況ですね。
今の我々では準備が足りぬという暗示なのでしょうか?」
(……それに、夢とは思えないほど嫌にはっきりして生々しい感覚だった。
でも、これからという時に姫様たちを不安にさせるわけにはいかない……)
・続き⇩
https://kimagure-azuma.jp/play-sq3r-30/
・詳細なキャラ設定⇩
https://kimagure-azuma.jp/sq123r_chara/
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