・前回のあらすじ
神殿最奥部で深王の気配を感じ取ったアステリア。
激闘の予感を覚え、一時撤退を決めるのであった。
・前回⇩
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第4階層終盤のネタバレが含まれます
「……おかしい。深都の兵士の姿すら見えません」
「伏兵が潜んでいるような気配も無い。これはいったい……?」
「……兵だけをわざわざ帰還させたということか?
いや、追っ手を想定しているのならば兵力は少なからず必要なはずだ……」
「深王さまはどこだろ」
「たぶん、この奥。……行くしかないのね」
「深王! オランピア!」
「ギリギリ間に合った……!?」
(……! 装置のあの光、すでに起動している……!?)
(不穏な空気だ……。”あの奥義”、使わなければならないのかもしれない)
「『災い』を……狩る? 海都に―――『災い』が存在する?」
(……あの装置の行き先は? 仮に海都のどこかに『魔』が存在していて
それに攻め入ろうとしているのならば……、本当に戦争となってしまう!)
「決してそのようなことではありません、深王様! どうか私共の話を―――」
(……! 顔こそ笑っているけど、あの深王の目、まるで本性を現した時の
オランピアみたいに……!?)
「ま、まぶしい……!」
「まずい、彼を行かせては……! 深王!待ちなさい!」
「くっ……、説得する間もなく……! 追いましょう!」
「ええ!」
「っ……!」
(しまった……! オランピアは装置に入っていない!)
「お、おふたりとも、下がって!」
「し、シギー、なにやってんの!? はやくこっちに!」
「シグドリーヴァ!」
「姫様!」
「こ、この位置だとシグドリーヴァ様に当たる……!」
(な、なぜ脚が動かない……!?
馬鹿な、これで―――こんなことで……終わりだというのか!?)
「く、クジュラ……?」
「いつの間に……。いや、そんなことよりも!」
「お願い、シギーを……あたしの友達を助けて!」
「……!!」
「……? 深王さまとぐーとるーね様って、ご兄妹ですよね?」
「深王はグートルーネ姫を―――殺そうとしているっていうの……!?」
「そんな……!? どうしてそんなことに!」
「訊かねばならないことは事は多いけど……、わかった。任せるわ。
しかしオランピアは……強い!」
「―――後で事情を伺うためにも……クジュラ!
必ずや、この戦を生き延びてください!」
「口笛……、いや、呼子?」
「そ、そうだ……! オランピアは魔物を呼び出せるんだった!」
「……どんなやつでもぶち抜いてやる」
「……」
「でかい……!」
「こ、ここまで強大な魔物を呼び出せるなんて……!」
「……!」
>シルヴィアは突如、自分の頬に拳を叩き付ける!
「シグドリーヴァ様!?」
「何を!?」
「……ここで我々が退けば、クジュラが殺される。
立ち向かわなければ―――ならない!」
>シルヴィアは眼前に立つ強大な魔物を睨みつける
「雷よりも眩しき勇気を―――此処に! 進撃せよ!」
「激しい雷を纏っている……。ショックガードで様子を見るべき?」
「……ダメ、属性攻撃が効きそうなビジョンが視えない」
「これは……長期戦になるな。キルシェは回復をメインに!
お葉とプレールは指示するまでこれまでと同じように!」
「雷じゃない……! 火炎!?」
「全員、物陰に!」
「だ、ダメです! 間に合いません!」
「くぅ……、これは……!?」
「丸焼きになるかと思いました」
「いや、今確かに直撃してたのに……、なんで?」
「……今のが虚仮脅しなはずがない。タイミングを見切らなくては」
「う、腕が……!」
「封じの範囲攻撃……!
キルシェ、パーティーヒールをいつでも使えるように!」
「く……!? し、視界が歪む……!」
「く、クラクラするけど、なんとか耐えれる」
「まずい、なんとか対策しないと、すぐにでも壊滅する……!」
「お葉、キルシェが封じられたら直ちにテリアカαを!」
「雷が……来る!」
「くっ……、ショックガード……間に合わない!」
「全員、散開! 固まってはならない!」
「が、ぁ……!」
「テュール様!!」
「姉上だけダメージが大きい……!?」
「さっきの尻尾と、今の咆哮……。まさか、どこかが封じられると
威力が上がる雷……!?」
「……今のショックで眩暈が治った。
次に誰かが封じを受けたらショックガードをしなければ……」
「厄介な相手だ……。キルシェ、パーティヒールを!」
「テリアカαの数は……、なんとか回復していかないといけないのに
節約もしないといけないなんて……!」
「またあの炎!」
「……!? さっきよりも温度が!」
「さっきよりも威力が上がっている……!?
まだ耐えられないほどではないけど……」
「全体への部位封じ攻撃に、封じで威力が上がる雷、時間をかけると
威力が上がる炎……、まるで生物兵器だ……!」
「コイツもしかして、フカビトを倒すために造られた魔物なの!?」
「そんなものを差し向けるなんて……! 向こうも本気か!」
「……関係ない。ぶっ殺す……!」
(造られた兵器……? もしかしたら、あのゲートキーパーのように……)
「初回、5回目、10回目……、予想が当たったか」
「……なるほど、行動が5の倍数の時に火炎攻撃を」
「しかし、最終的には耐えられない威力になるはず。
一気に決着をつけなくては!」
「熱い……!」
「だいぶ危険な威力になってきたわね……!」
「敵にまるで斃れる気配が無い……!」
(クジュラの方は……まだ戦いが続いている様子か。
こちらも背後を気にすることなく戦えるだけマシか)
「分身が……!」
「……! 好機!」
「最終奥義・肉弾!」
「お葉、何を―――」
「な、なに……!?」
「分身が……自爆!?」
「意識を失うと発動する爆炎符です。
あまり使いたくはありませんが……、四の五の言っていられません!」
「なんて壮絶な……」
「……っ。見ていてつらいけど、かなり効いている!」
(お葉……それほどの覚悟を。今の己で、それに応えられるか?)
「エーテルの残りはまだある……。でも、間に合うの……?」
「分身の消耗が激しくなってきた。無理がありすぎたか……!?」
「お葉、こっちにアムリタを!」
「もっと集中して狙わないと……」
(戦いに終わりが見えない……。だが、すでに戦う以外に道など無い!)
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