・前回のあらすじ
謎の青年クジュラの叱咤激励を受けてミッションを受領したアステリア。
B4Fの新たな敵の面々を相手取りつつ、その歩みを進めるのであった。
・前回⇩
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「ふふふ、やはり宝箱がありましたわね」
「悪路の先には宝箱、わかりやすいわね」
「お宝たくさんありますね」
「B1Fのものはともかく、それ以降は誰も見つけていないのかしら」
「さっきの鹿のFOEは巡回タイプみたいですね。
ゆっくり物色しましょうか」
「これかぁ」
「何ですか?これ」
「これは解剖用水溶液といって、魔物にかけてから斃すと
その魔物の素材をすべて剥ぎ取れる優れものです」
「ただ、揮発しやすいからとどめを刺す寸前に使わないと
効力を発揮できないの。意外と扱いが難しいのよね」
「……さらっと言ってますけど、姫様たちってこういうのに
慣れ過ぎですよね」
「……? 他国の王族たちも、このようなものなのでは?」
「狩猟くらいはするでしょうけど、あんたらが特別だと思うわ」
「これでよし。抜け道、確保できました」
「近道ができるって、本当にありがたいわね」
「けもの道も探しましょうか」
「迷宮だと流石に危ないから、ね」
「うーむ、この地形は非常に厄介ですわね」
「宝箱に釣られまいとしてこっちに来たけど、早計だったかしら」
「あのFOE全部、南の道に行ってくれれば……」
「ぬ、泥濘がこんなに長く続いてるなんて……!」
「どうしましょう、もう後ろに!」
「一体の巡回ルートはこっちだったか……。
もう少し観察すべきだったわね」
「……」
「背を向けてばかりもいられませんわ! 全体、我に続け!」
「だいじょうぶかな……」
「お葉、万が一のために撤退路の確保と糸の準備も」
「わかりました!」
「やるしかないか……」
「先ほどの動きからすると、前衛を混乱させて蹂躙するという
戦法が得意なのかもしれませんわ」
「となれば、混乱した時に如何に早く回復するか、ね」
「お葉。我々が混乱したら、防御役の姉上を優先して回復なさい」
「わかりました」
(奥義・飯綱……、並みの魔物には有効だったけど……。
やってみるしかないな)
「くっ、やっぱり上手くはいかないか」
「煙幕が当たらない……!」
「もう一度だけ試して、駄目そうだったら攻撃を優先しなさい!」
「その首もらったぁーーっ!!」
「跪きなさい……!」
「お、お二人がなんか物騒なことを……!? 痛っ!」
「きゃっ!? ちょっと!敵はアイツでしょ!?」
「混乱してる!はやく治して!」
「そ、そうだった……! まずはテュール様から!」
「……! 雷が効いてる!」
「……あら? わたしは何を」
「テュール様!もう、テリアカβが一つしか残ってません!」
「そう、仕方ないわ。それはシグドリーヴァに使ってちょうだい。
我々がまた混乱したら、指示をあなたに任せるわ」
「混乱攻撃は厄介ですが、追い詰めましたわね」
「しかし、テリアカβはさっきので最後です!」
「プレール、キルシェ。こちらが混乱しても、かまわずやりなさい」
「ええ、わかってます」
「息を大きく……、心を静かに……」
「……! ここぞって時に!」
「しかし、もう虫の息です! 次で決めましょう!」
「ここだ……! 雷光のエーテルよ!」
「かっこいい……!」
「敵は沈黙しました!我らの勝利です!」
「何とかなりましたね……」
「やれやれ、今日のわたしはいいとこ無しね」
「そんなことはありませんよ。
ボクたちでは攻撃をさばききれませんでしたし」
「鹿のお肉で豪勢にいきましょう」
「このお肉なら歓迎だわ。できるだけ脂ののったところにしましょ」
(あのキルシェがこんなに逞しくなるとは……。
父君と母君も、きっとお喜びでしょう)
「さて、こちらの宝箱は……マドラですか。なかなかのものですわ」
「……! 姫様、FOEがもう一体近づいています!」
「ここが引き際ね。帰還しましょう」
「うーん、武器はこのままでいいか」
「灯台でのクエストで貰った書物、優秀な性能ですわね」
「ボクたちの装備も、まだこのままで良さそうです」
「ねえ、シグドリーヴァ。たまには思いっきり休まない?」
「皆、ほんとうによく頑張っていますからね。
朝食が済んだら、夜まで自由行動にしましょうか」
「お昼は鹿のステーキにしましょう」
「さて。ここまで戻ってきましたが、どちらに行きましょうか」
「地図の空き方からすると、東がヌシのいるところでしょう。
まずは西を攻めましょうか」
「ここは採集地点ね。しかも、ちょうど抜け道の裏側」
「なにが採れるかな」
「ここは樹木が採れそうね。……ってことは」
「~♪(ギコギコチョキチョキ)」
「あの、頼みますので、丁寧に採ってくださいね……?」
「無駄よ、お葉。ああなると聞いちゃいないわ」
「ヌシはまだ見当たりませんね。……?なんだか、甘いにおいが」
「それに、花の香りも……。蜂蜜かしら?」
「うわっ、蜂! って、なにあれ!?本当に蜂なの?」
「ミツバチみたいですけど、すごく透明ですね」
「そういえば、酒場で受けた依頼に蜂の巣を取れというのがあったわね」
「鼈甲色をしている蜂なので、あれが目的の品物ですか。
それではみなさん、作戦を開始します!」
「蜂を捕るときは、ぜったいに刺激しちゃいけないんですよ」
「それなら、まずやるべきなのは……」
「煙責めですわね。なるべく乾燥した小枝と、焚き付け用の
落ち葉を集めましょう」
「燻し出せ!!」
「まだ焚き木すら集まっていませんよ!?」
「よし、こんなもんでしょ。ほいっと」
>キルシェが指を鳴らすと同時に、薪に火が付いた!
「かっこいーなぁ。うちもやってみたい」
「それじゃ、あんたが指を鳴らしたら火を出すから。さん、はい」
「ふふ、まるで姉妹みたいね」
「よし、そろそろ頃合いで……って、姫様!?」
「ご心配なく!この程度は軽いものですわ」
「いや、その、スカートが……。せめてズボンを穿いてください!」
「まあいいじゃないの。女の子同士、気にすることも無いでしょ」
「姫様!気を付けてくださいね!」
「こちらは大丈夫ですわ!安心してお待ちなさい!
さて、巣の捕り方は確か……」
「おっと、わたくしとしたことが。道具を忘れてしまいました」
「お葉、鋏を持っていたわね。貸してくれる?」
「え?いや、あれは……。それよりも、伐採用の鋏の方がいいのでは?」
「それもそうか。シグドリーヴァ、受け取りなさい!」
「わ゛ーーーっ!? ちょっと、抜身のまま投げるなんて!?」
「あ、あぶない……!」
>シルヴィアは脇目も振らず指で受け止め、作業を開始した!
「この角度では切りにくいですわね。いっそぶら下がりましょうか」
「な、何事もなかったように……!」
「今のは流石に肝が冷えたわ……」
「姉上、この鋏はそろそろ研いだ方が良さそうですわ」
「あらそう?街に戻ったら砥石を買わないとね」
「……あの、キルシェさん。ボクの感覚がおかしいのでしょうか?」
「しっかりしなさい、あんたがツッコミを放棄したら誰がやるのよ」
「首尾よく完遂しましたわ!」
「お、お疲れさまです……」
「おちた蜂はあとで佃煮にでもしましょう」
「間近で見ると、すごく立派な巣ねぇ」
「蜂の巣と言えばローヤルゼリーね。ちょっとだけもらっちゃおうかな」
「キルシェさん見て見て。はちのこもこんなに」
「」
「さあ、依頼の品は手に入れたので、先に進みましょう」
「あれ、誰かいますよ」
「人影は2つ……、あの姿はたしか……」
「ムロツミのアガタとカナエですわね」
「何かあったのかしら」
「ちょうどこっちに来るわね。話を聞きましょう」
「無論、そうですわ」
「あんたらこそ、ここのヌシを倒しに来たんじゃないの?」
「協力、と? まずはそちらの目的を話すのが筋なのではないですか?」
「アガタさん……?」
(今の表情と言葉……、ワケ有りね。もう少し探ってみるか)
「どうしましょう?」
「こんなに必死に頼まれると、断わりづらいですよ……」
「……まあ、いいでしょう。
ここでいたずらに時間を浪費することは望みません」
「ふーん、なるほど。ま、少しでも情報は欲しいところだからね」
(裏表のない少年であるだけに、解せぬ点が多い。
彼らは本当に、”冒険をする”ためにここにいるのか?)
「……ん?「退治は任せる」って……。ねえ、ちょっと!?」
「一緒に戦ってくれないんですか!?」
「行っちゃった」
「あ、あんにゃろ……!!」
「やれやれ、本当に手段を選ばないつもりね」
「ここは野営地点と、抜け道ですか。……あの、姫様?
先ほどから考え込んでおられるようですが」
「……ここまで来れるということは、彼らもそれなりに実力が
あるということですわね?」
「そうなんじゃないの?現にここにいたわけだし」
「なぜこのような面倒な手段を用いて我々を利用しようとするのでしょう。
戦力が足りぬとなれば、フリーの冒険者を雇うこともできるはず」
「それは……」
「ムロツミは重大な隠し事をしているとみて良いでしょう。
それがわかるまでは、決して気を許してはなりませんよ」
(カナエさん……)
「ヌシ近くへの抜け道はできたわ。一度帰還して準備を整えましょう」
「おお、この脚防具は良いものですわね」
「これはわたしとシグドリーヴァとキルシェが使うとして……、
プレールとお葉はどうする?」
「今のお履がはきやすいので、こっちがいいです」
「今の靴の方がしっくりくるので、いりません」
「不要な装備を売れば回復薬も買えますね。
まずこれを3ついただきましょう!」
「いよいよ、第一階層のヌシとの戦いですね……」
「突入するわよ。武器や防具の手入れは万全?」
「ばっちりです」
「回復薬も十分量よ」
「では、まいりましょう。魔魚ナルメルよ、覚悟なさい!」
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・詳細なキャラ設定⇩
https://kimagure-azuma.jp/sq123r_chara/
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