・前回のあらすじ
白亜の森最深部を往くアステリア。
運命の戦場へと踏み入れる予感を覚えながら、再び迷宮へ挑むのであった。
・前回⇩
https://kimagure-azuma.jp/play-sq3r-63/
第5階層のネタバレが含まれます
「実力がついてきたって実感はあるけど、やっぱ深層の魔物はきついわね」
「しかし、それを承知で助力をしてくれたギルドたちのためにも、
我々がここで斃れるわけにはいかない。気を強く持って」
「あ、いいものみっけ」
「どうしました、プレール」
「これは―――」
「シロツメクサが生い茂ってますね。しかし、これがどうしましたか?」
「ねっ転がるとおふとんみたいになるんだよ」
「そうなんだ? ちょっと興味あるかも」
「うーむ……。どうしましょうか、姉上」
「それは今回の事が済んでからにしましょう。我々の使命を忘れたの?」
「ごめんなさい……」
「まあ……、こんなヤバい魔物だらけの所で寝っ転がるのも危険か」
「この鳥居の間の空間……」
「またこういうタイプの道があるのか。めんどうね」
「いえ、そうではなく……。あの場所、道らしきものが無いんですよ」
「……? ……あっ、そうか。どこかの鳥居から内側に跳んでこないと
いけないってことなのね」
「この空間が、目的地のグートルーネ王女の居場所なのかしら」
「断定はできませんね。今は記憶の片隅に留めておきましょう」
「妙ね……。FOEを躱せない道の他に、進路があるわけでもない」
「狩らないとダメなんでしょうか」
「通れる可能性がある道がそこしかない以上、挑むしかなさそうです」
「なんか……ちょっと不安だな」
「……あの術で予知が出ない。全滅はしないと思うけど……」
「よち?」
「キルシェさんって、予知能力があったんですか?」
「え? あ、いや、それは……!」
「彼女が開発した術で、全滅の未来が視えると知らせてくれるというものらしいの」
「第3階層の断罪の間の戦いの直前や、その他の危険だった魔物との戦いでも、
この術を役立ててくれたのですよ。未完成ながら、精度はなかなかのものです」
「ま、まさかそんなものを独力で開発できるなんて……!」
「すごい……!」
「え、えっと……」
「(そういうことにしておきましょう。『巻き戻し』の術は、わたしたちの
心内だけに秘めておかなければならないのだから)」
「(……うん、わかった)」
「しかし、全滅せずとも痛手を被ることは間違いありません。
劣勢と判断したら、即座に撤退しますよ」
「……!! 9の尾を持った狐……」
「すごい威圧感だわ……!」
「狐の化身は尾の数が9本に近づくほど強大な力を持つそうです。
皆さん、気を付けてください!」
「今までの狐は皆が雷使いだった。ショックガードを使い続けて
様子を見るか……」
「ちぃっ……! また打撃か……!」
「まずい、敵の情報が全く手に入らない」
「テュール様の予想がうまく当たってくれればいいのですが……」
「な、なんだこの電圧は……!? 全員、姉上の後ろに!!」
「こ、こわい……!」
「な、なんという……!? がはっ……!」
「キルシェ……! ラインヒールを!」
「なんなのこの威力!? 軽減してこんな……!」
「キルシェさん、落ち着いて回復を!」
「まずい、お葉! 躱しなさい!」
「は、はあ……っ! 危ない……!」
「一発程度ならば防げても、攻撃を重ねられてはどうしようもない!
危険な相手だ……!」
「し、しまっ……た……!」
「テュール様!」
「ユーン!」
「……!! キルシェ、雷がそっちに!」
「あ、あ……! きゃああーー!」
「っ……! これ以上戦うわけにはいかない! 撤退します!」
「姫様、プレールさん! ふたりを担いでこっちに!」
「ふう……、こっぴどくやられたわね。ショックガードをしなければ
きっと骨まで黒焦げだった」
「でも、あの雷さえなんとかできれば勝てないわけでもないと思った。
……それにしても、あそこはホントにFOEを倒さないとダメなの?」
「そこが不自然なんですよね。今までは偶然なのかFOEと戦わずに
迂回ができる道があったので、今回もそうだと思うのですが……」
「うーむ、これはどうしたものか。少し修行がてら、地図が
埋まりきっていない部分を探索してみましょう」
「……ねえ、この道に居たのって、今あたしらの後ろを通ってるFOEよね」
「あれもお狐さんですか?」
「気配からすれば、同種のFOEと思われますが……」
「気まぐれで縄張りを変えるのでしょうか?」
「そうかもしれないし、そうではないかもしれない。
しかし、進路を変える条件さえわかれば、あの道はFOEを避けて通れそうね」
「テュール様、すっごいお宝ですよ」
「す、すごい数の銀貨と銅貨……!? 全部で1万エンくらいありそう!」
「少し気が咎めますが……。しかし、時間はあまりない以上、
これも有効に使わせてもらいましょう」
「時間……」
「え?」
「もしかすると、あの狐のFOEは時間、少し想像が入るけど、昼夜が
切り替わるたびに縄張りを変えるんじゃないかしら」
「……可能性はありますね」
「最初にあの場所に行ったのは昼でしたね。次は夜に行ってみましょうか」
「おおあたりです」
「日の出までは、まだ時間があるわね。慎重に後をつけましょう」
「……そういえば、オランピアさんはどこまで行ったのでしょうか。
B19Fでは一度も見ませんでしたね」
「……深王と共に要所で足止めをされているのが理想ですが、
すでに我々よりも大幅に進んでいるという可能性も十分あり得ます」
「もうちょっと急いだほうがいいかな……?」
「あれ? ねえ、鳥居の向こうのあれって……」
「庵……に偽装された転移装置かしらね。しかし、なぜこんな場所にも……」
「元老院の関係者は磁軸を使って往来している様子なので、あれは
元老院の建物に繋がっているわけではなさそうですが」
「どこにつながってるんでしょ」
「……。いえ、今はそれを考えている場合ではない。進みましょう」
「広場のFOE……あれはカマキリでしょうか」
「オランピアさんのペットなんですかね?」
「……シグドリーヴァ、オランピアの気配はあった?」
「いいえ。しかし、彼奴はオランピアが前もって呼び出したとも取れます」
「オランピアさんの足跡は……なさそうです。
初めからここに生息していたのかもしれませんね」
「ふむ……。貴方がそう見立てたのならば、確かなのでしょう。
皆さん、地形をうまく把握して進みますよ」
「はあ……、なんとかみんな無事でここまで来れたね」
「もうちょっとなんでしょうか」
「そうかもしれない。でも、油断しちゃ駄目よ」
「手前の方を潜ると、だいたい……この位置に飛びそうですね」
「ふむ……? 地形的に最奥と思っていましたが、違ったようですね。
しかし、もうほんの少しで目的地に辿り着ける。皆さん、頑張りましょう」
「うわ!? す、すごい数の鳥居が……」
「ぜっけいですね」
「風景と相まって、とても神秘的だわ。”汝、神の國へ至れ”……なんてね」
「でもこの鳥居、どれを潜ればいいんだか……」
「その前に、手前からどこかに飛ばなくてはなりませんね」
「もう地図は大部分が埋まった。もう変なところには飛ばないと思うわ」
「あ、ここは……」
「さて、これが最後の関門ね。どれから潜ってみる?」
「一番手前は論外ですね。侵入者除けの為の鳥居なのに、最も入りやすい
場所から奥地に行けるということは、まず無いはずです」
「それが妥当か。では、手前から2番目の鳥居から順に試す、
ということでいいかしら」
「じゅんびばんたんです」
「……! 冷たくとも清浄なこの空気……」
「ボクたちは、ついに……」
「装備を確認して。すぐにでも戦闘になるかもしれない」
「はい」
「来るとこまで来ちゃったんだね、あたしら」
「雰囲気の違う扉……。あの先が」
「……グートルーネ王女は、あの先で今も抗い続けている。
人の心をたやすく呑み込んでゆく、何よりも昏く……深き混沌の闇に」
「うち、いまもグートルーネ様のこと、きらいになれません。
でも、グートルーネ様はフカビトで、うちらの敵で……、だから……」
「プレール。あたしらがやろうとしてるのは、確かに間違ってるかもしれない。
それでも、それが『正しい』って信じなきゃいけない時はきっとあるのよ」
「……”常に最悪を考えよ”、か。深王とは……決別し、戦うこととなるでしょう。
我々は、それに抗するべく備えなくてはならない」
>シルヴィアは仲間たちの方に向き直る
「我々は深王と……『”決着”』をつけなくてはならない。
お願いします。どうか、あなた達の力を―――貸してください」
>その言葉に仲間たちは静かに、力強く頷く
「―――では、帰還しましょう。糸を準備します」
「ええ、お願いします」
>シルヴィアは背後の扉を一瞥し、仲間の方へ歩みだす
その瞳には、決意の光が宿っていた
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・詳細なキャラ設定⇩
https://kimagure-azuma.jp/sq123r_chara/
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