・前回のあらすじ
深王を止めるべく、ついに白亜の森へ踏み込んだアステリア。
凶悪な魔物の気配に警戒しつつ、先を急ぐのであった。
・前回⇩
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第5階層のネタバレが含まれます
「白亜の森で採取した植物から、こんなすごいものができるとは……」
「敵の強化を相殺するラウダナムに、アムリタⅡ。そして対物理系ミスト。
効果もさることながら、こんなにもお手頃価格で買えるなんて」
「材料の調達費は冒険者側の負担であるからかもしれません。
店主さんはやはり商才がありますね」
「このミストっていうの、どういうしくみなんでしょ」
「これはちょっと口では説明できないな……。
書物でも専門用語ばかりで素人にはわからないだろうし」
「おっと、ギルドに登録している顔写真も変更しなくては。
宿に戻る前に冒険者ギルドまで行きましょう」
「あら、珍しい。ギルド長がそんなバタバタしてるなんてね」
「顔写真の変更をしたかったのですが、立て込んでいるようですね」
「……そうね。望んで死地へ飛び込んだのはこちら側。
それで命が失われても……仕方のないことなのでしょうね」
「狩るか狩られるか」
「ボクたちが全員で生きてここまで来れたのは、姫様の術……
いえ、たくさんの幸運が重なった結果なんでしょうか」
「幾度も死にかけ、それでもなお生還したことは、まさに幸運でしょう」
(そっか、お葉は『巻き戻し』の術のことをちゃんと知らないんだったか。
……自然の摂理に反しても、あたしはこの冒険が終わるまで使うつもりよ)
「……?」
「最初からそう言えばいいのに。……素直じゃないひと」
「我々はすでに、この海都でも頭一つ抜けたギルドですからね。
ギルド長も内心は心配してるのだと思いましょう」
~冒険者ギルドからの帰り道~
「それにしても、あのぶっきらぼうなギルド長があんなこと言うなんてさ」
「心から素直になれる人間なんて、そうそう居るものじゃないわ」
「キルシェさんは素直なんでしょうか」
「ちょっ……、なんでここであたしに振るの!?」
「十分素直な方だとボクは思いますよ」
「ほう、お葉はよくわかっていますね。キルシェは昔から自分の感情に
とても素直で―――キルシェ、貴女は何か隠し事をしているのでは?」
「―――え!? ……そんなわけないじゃん。もう、シギーったら」
「おやぁ? その反応は何かあるのかしら」
「……冗談ですよ、姉上。さあ、宿で休みましょう」
「化け狐……!?」
「しまった、不意打ちを……! 全員、防御態勢!」
「こいつは何をしてくるの……?」
「……打撃の威力はさほどでもないな。真価は属性攻撃か搦め手?」
「術使いだとすると、注意が必要ですね」
「雷……!? しまった、前に出過ぎた!」
「姫様!」
「ぐっ……! しかし、耐えられないほどではない!
姉上はショックガード、キルシェは回復を!」
「まとめてぶち抜く……!」
「手ごわいやつらばかりね……!
でもあたしだって、もう昔のあたしじゃない!」
「花付きの扉か。みんな、遮光器を装着して」
「店主さんにダメ元で聞いてみましたが、まさかこういう小物までも
用意してくれていたとは」
「かっこいいの買っちゃいました」
「持つべきは友、ってね。身をもって体感したことだわ」
(……言葉が重いなあ)
「……よし、視界良好。お葉、コンパスは?」
「やっぱりダメですね……。今いる位置がわかりません」
「そっちはどうしようもないか。大雑把でもいいから、とりあえず
地図に大まかな地形を描いておいて」
「キルシェさん、おしりの横のところがやぶけてます」
「え!? うわ、マジだ。まだ新しいタイツだっての……
いやちょっと待って!? なんでわかったの!?」
「……たった今気付きましたが、ここの地面は鏡のようになっていますね。
この眩しさも頷け―――お葉、どうしました?」
「す、すみません姫様、その……うっかり中を見てしまいました」
「……まあ、わざとではなさそうなので咎めはしませんよ」
(……? シグドリーヴァ、もしかして知ってたのかしら?
いったいいつの間に……)
「巨大な猪……! 危険そうな相手ね」
「前衛の我々は防備を固めましょう。お葉とキルシェは回復準備を!」
「テュール様!!」
「ふたりともしっかり!」
「うぐ……、凄まじい筋力……!」
「予想していたとはいえ、ダメージは大きい……!」
「マドラを使います!」
「抜けられた……!」
「お葉、プレール、キルシェ!」
「な、なんとか……」
「やりやがったなあの野郎ォ……!」
「もうエーテルの残量なんか気にしてられない……!」
「あの突進で自傷している……!? 姉上、先手必殺です!」
「助かるわ……! 喰らいなさい、砲の極意を!!」
「強敵でしたね……」
「前衛の我々でも、2回喰らえば終わりだったわ……」
「しかも、号令で強化していてもそうでしたからね。
次からは、あの猪はなるべく避けるようにしましょう」
「賛成! あんなのとまともに戦ったら、回復だけですっからかんよ」
「眩しいかまきり!」
「地図が使えない場所にFOEとは……!」
「また妨害……! オランピアも本気ね!」
「焦ってはなりません。我々は常に『観察』することで
ここまで来たではありませんか」
「その通り。そして、ここでそんな妨害をするということは、
彼女はまだこの近くで深王を捜しているということのはず」
「そうだといいのですが……。しかし、前向きに考えるしかありませんね」
「よし、全員無事で抜けられましたね」
「テュール様、あそこの木はなんでしょう」
「木の根に……太い縄が巻き付いている? 何かしら」
(あれは、もしや……)
「あっ、階段だわ!」
「木の中に階段か。しかし、この縄はいったい?」
「ひらひらがかわいいです」
「なにかの儀式のため? うーむ、見当もつかない……」
「これは注連縄ですね。そうか……。
もしかすると、こっちの方が王家の『結界』なのかもしれません」
「どうしてわかるの?」
「注連縄というものは、神聖な場所に悪霊や人が寄り付かないように
張り巡らせるものです。つまり、これは結界の一種なんですよ」
「なるほど……、そういう意味があるのですか」
「すごいな……。あたしもけっこう本は読むけど、こういうのは
全然出てこなかったのに」
「父の故郷……東国ではよく見られる光景なんですよ」
「……。とにかく、この王家の紋章があれば問題なく通過できますね。
より強い魔物も現れるでしょう。注意してください」
・続き⇩
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・詳細なキャラ設定⇩
https://kimagure-azuma.jp/sq123r_chara/
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