・前回のあらすじ
謎の宝珠の力で海流を制し、再び深都を目指し進軍するアステリア。
襲い掛かるFOEを躱しつつ、B8F奥地を探索するのであった。
・前回⇩
https://kimagure-azuma.jp/play-sq3r-31/
第2階層終盤のネタバレが含まれます
「あそこに扉が……」
「この階層は、この先で終わりのようです。ということは……」
「……ここに海王ケトスが居るのでしょうね」
「一度帰還しましょう。準備が必要だわ」
「どんなひとなんでしょう」
「先ほどの素材で、また一つ買えるようになりましたね」
「これはお葉にかしら。今の隊列だと、分身が前衛になるみたいだし」
「わかりました。ありがたく使わせていただきます」
「本人と全く同じスペックの分身か……。あたしも使ってみたいな」
「双子みたいなかんじなのかな」
「回復薬も買い足しましょう。メディカを多めに持っていきましょうか」
「……扉越しだというのに、思わず気圧されてしまうような気配を感じる」
「ええ、まさしく『王』の名にふさわしいものですわ」
「……ぶるぶる」
「この海底の迷宮に住まう海王……、その正体は?」
「それを知るために、我々は往くのです」
「……行くしかないのね。この扉の先に」
「くじらさんです!」
「海で見た鯨よりもはるかに大きい!!」
「魔物!? でも、今確かに言葉を……!」
「……間違いないわね。あの時、宝珠を渡してきた声と同じだわ」
「我々に向けられているのは敵意ではない。これは……”敬意”?」
「あの身体に刃が通るのか……!?」
「……必ず当てる」
「生身であんな巨大な鯨と戦わないといけないなんて……!」
「……この戦い、勝負を決めるのは体格などではありません」
「雌雄を決するはその意志ひとつ。
―――それは、より強い意志を持つ者が勝利するということ!!」
「今こそ信念を槍に、敬意を胸に! 進撃せよ!!」
「まさしく、王者の貫禄ですわね」
「彼は力を振り回すだけの粗暴な魔物などではない。
みんな、行動の一つ一つをよく観察して!」
「これは!?」
「潮がカーテンみたいになった!」
「あれは……盾ね。生半可な攻撃は躱されるとみて良いでしょう」
「見た目通り、体力も非常に高いと見ました。
お葉、分身を! 少しでも手数が必要です!」
「はい!」
「雷が弾かれた……!」
「ラウダナムはひとつしかないか……。使い時を見極めなくては」
「大波!」
「全員、高台に退避せよ!」
「今の攻撃……、遅すぎてまともに当てられるわけがない。
……注意すべき技をいくつも持っている?」
「テリアカは3つずつ用意しましたが、足りぬかもしれませんね」
「姉上!」
「しまった、受け身ができなかった……! 身体の感覚が……」
「今治療します!」
「さっきの大波、動けなかったらヤバいんじゃないの?」
「溺れちゃう……」
「攻撃の手を緩めてでも、直ちに治療した方が良さそうですね」
「氷の波……!?」
「後列は直ちに退避せよ!」
「脚が凍り付いている……!」
「テリアカα……! まずはどちらを!?」
「こちらに構うことはない!シグドリーヴァを治療しなさい」
「この声は……!?」
「ね、眠気……? ヤバい、耳をふさがないと……」
「み、みんな寝ちゃった……!」
「まずい、あの体勢は大波だ……! 治療が間に合うか!?」
「きゃあああーーー!」
「キルシェさんが!」
「げほっ!くっ……、催眠攻撃とは……」
「ハア……!お葉、ネクタルを! わたくしはメディカを準備します!」
「お、お葉、もはや……わたくしに構ってはなりません。
……あなたに、託し……」
「姫様! そんな、ネクタルはもう……!」
「こっちも、もうエーテルが残ってない!」
「……まだ、折れてはいけない。最期まで、死力を尽くして戦うのみ!」
「……わかりました。テュール様のために……戦います」
「す……、すみません。……ここまで、……です」
「……あなたはよくやってくれた。斃れたみんなも、とても勇敢だったわ」
「……海王ケトスよ、感謝いたします。最期に誇れる戦いができたことを」
「そして……、またお会いしましょう。―――新たなる……黎明に……」
「……」
「善戦はできていたと思いますが、もう一歩届きませんでしたね」
「テリアカやネクタルがすぐ尽きたのが致命的でしたね……」
「あと……ペース配分かな? 途中でかなり息切れしちゃったし」
「弾薬、すぐ切らしちゃった」
「ケトスの戦法は、大まかですが把握できました。
回復薬をさらに用意し、もう一度挑み―――」
「今の我々は休養を取るべきだわ。使う技を吟味しなくては」
「姉上?」
「まあ、たしかに使わない技はいくつもあったけど……」
「そうと決まればプレール、これで何か美味しいものでも買ってきて。
おつりが出たら、それで何か好きなものを買うといいわ」
「わかりました。いってきまーす!」
「は、速……!? 待ってくださいよプレールさん!
ボクも付いて行きますから!」
>お葉とプレールが部屋から出て行ったことを確認し、
ユーンはシルヴィアとキルシェを強い眼差しで睨む
「……シグドリーヴァ、キルシェ。訊かねばならないことがある」
「……!!」
「……何を、でしょうか」
「シグドリーヴァ、この”巻き戻し”の術、一体どこで修得したの?」
「それは―――」
「あなたは昔から、咄嗟の嘘をつくのが下手だったわね。
王家に伝わる術なら、わたしが知らないということは無いはずよ」
「……」
「この術は、キルシェ。あなたが創りだしたものね。
人類が到達できなかった次元、それに至りうる才を持つのはあなたよ」
「……」
「わかっていたはずでしょう? 理解していたでしょう? この術が孕む危険性を。
これの存在が外部に知れれば、それこそ……世界の総てを跨いだ戦争となる!」
「お言葉ですが姉上! キルシェは―――」
「わたしはキルシェに訊いている! ……なぜ、この術を創ったの」
「……父さんと母さんに、もう一度会いたかったから。
たった一度でもよかった。もう一度だけ話したかった。それに―――」
>キルシェの瞳に、大粒の涙が浮かぶ
「……」
「”あの子”にだって……、また会いたかった。……それだけなの。
でも、そんな過去まで戻ることなんてできなかったの……!」
「……姉上、責めるのはわたくしだけにしてください。
この術を開発していると知りながら、止めなかったのはわたくしです」
>ユーンはふたりから視線を外し、軽い溜息をつく
「あの子のことを出されては弱いわね。……よくわかった。
しかし、キルシェ。最後にこれだけは言わせてもらう」
「……うん」
「あなたの才能は、もう手の届かぬ過去のために使うべきではない。
不確かでも、必ず存在している今と未来のために使ってほしい」
「……」
「さ、涙を拭きなさい。プレールとお葉が帰ってきたら心配するわ」
「……うん」
(……己に課したこの軛、取り去れる時が来るのだろうか?)
「それでは、休養届を提出してきますね」
「ええ、お願いします」
「それにしてもプレール、その……すごく変わったものを買ってきたわね」
「……つい」
「窓にくっついてうにょうにょ降りてくるタコとか、宙返りしながら
吹っ飛ぶ人形とか、こんなおもちゃをよく見つけたわね……」
「この飛び上がる人形の凄まじい造形、なんだか夢に出そうだわ……。
これ本当におもちゃなの? 呪物か何かじゃないの?」
「姉上、休養届は無事に受理されたようです。
これでアステリアの活動は一旦休止ですね。何をしに行きましょうか」
「気分を晴らすならば……やっぱりあれかしらね」
・続き⇩
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・詳細なキャラ設定⇩
https://kimagure-azuma.jp/sq123r_chara/
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