・前回のあらすじ
大海を冒険していたアステリアは巨大な灯台を見つけるも、到達する手段が
まだないことを悟り、一旦帰港するのであった。
・前回⇩
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「買えるものもだいぶ増えてきましたが、なかなか装備を変えられませんね」
「そうですわね。しかし、焦ってお金を稼ごうとすると足元を掬われますわ」
「あ、あれ。うちのお守りがない」
「お守り?あっ、ここに落ちてたわ。紐が千切れちゃったみたいね」
「紐、新しくしたばっかりだったのに……」
(……凶兆! あの術がうまくいけばいいんだけど……)
「キルシェさん、どうしました?……キルシェさん?」
「ぐっ……!!こ、これしきのこと……!!」
「姫様!身を守ってください!」
「敵はもう弱っている……。他の者は全力を叩き込みなさい!」
「姫様、早く手当てを!」
「ちょっと、らしくないでしょ?」
「どうも、今日は勘が鈍くなってしまっていますわね」
「うちも、なんかぼーっとしてます」
「今日は厄日かもしれないわ。探索は中止して、街で休みましょう」
「……!!しまった! 総員、直ちに撤退せよ!」
「姫様!危ない!」
「に、逃げろおおーー!」
「きゃあああーーっ!!」
「お、お葉……、撤退しなさい!よろしいです……わね……」
「そ、そんな……!!姫様……姫様ぁ!」
「わたしが引き付ける!お葉は遁走の術を!」
「あ、あああ……」
「し、失敗……!?もう一度!」
「……!!いけない! お葉!そっちに行ったわ!」
「え……!う、うわああーー!」
「お葉!そんな……」
「こ、ここまで、かしら。ふたりとも……行きなさい……」
「い、いやです。テュール様を置いて行くなんて」
「プレール、王女様の命令よ。
あたしたちが逃げ切れば、応援を呼んだと思ってあいつらは姿を消すわ」
「だ、だって、みんな、血があんなに……」
「黙って走りなさい!」
「……!」
「あいつら、しつこいわね! ……!!危ない!」
>キルシェはプレールを突き飛ばして庇った!
「あ、ああ……!キルシェさん……!うそだ……!」
「……。おなじ気持ちだったのかな……、父さん、母さ……」
「か、返せ……!みんなを返せーーーっ!!」
「という夢を見ましたの」
「怖い夢だったわね」
「ゆめならしかたがない」
「なに軽く流そうとしてるんですか……!!
ボクたち、みんな死んでいましたからね!?」
「……なんでうちら生きてるんでしょう?」
「それは……」
「……。これぞ、我が国の王家に伝わる禁術ですわ!」
(……?)
「”死した時に記憶だけを特定の時まで巻き戻す”というもので、
極一部の者しか知るものが存在しないのです!」
「ええ!?そ、そんな革命的な術があるなんて!」
「す、すごい……!」
(……シグドリーヴァ、いったい何を言っているの?
そんな術、存在すらしていないはず……)
(……)
「その話はさておき、さっそく反省会を行いたいと思います」
「成す術もなくやられてしまいましたからね……。
あの大きな鳥をまともに相手取るのはやはり危険ですよね」
「装備は充実していないし、戦術で勝てても不意打ちされては
なんの意味も無くなるわ」
「戦わずに撤退するにしても、逃げ切れなければ壊滅するだけね」
「うち、もっと強くなります。
そして、矢一本でアイツらを焼き鳥にしてやります」
「プレールの言う通り、己を鍛え上げれば多くは解決できます。
慎重に、しかし確実に経験を積んでいきましょう」
「あとは隊列ね。お葉は一度後列になってちょうだい。
搦め手を使えるのはあなただけだから、狙われると危険だわ」
「……わかりました」
「反省会はこのくらいで終わります。それではみなさん。
夜までは遊んで、嫌なことなど忘れてしまいましょう!」
「……」
「このあたりもすっかり慣れたものね」
「全滅した時も含めて、何往復もしてますからね」
「FOEが向こうへ行ったわ。今の内じゃない?」
「あのFOEの背後、袋小路になっているようですわね」
「そうですね。地図上は少なくとも、右手側が塞がっています」
「左が順路でしょうか?」
「うーん、どうかしら。
でも、FOEを避けるためにも一度左の道に行きましょう」
「む……?全体、止まれ!」
「何かあったの?」
「人影が見えたわね。何者かしら」
「お~ば~け~」
「や、やめてくださいよ、プレールさん!」
「女の人……かな?」
「ほ、ほんとにお化けじゃないですよね?」
「お葉……、あんたお化けとかダメだったの?」
(この女……。今、気配が……?)
「……これはご丁寧に。我らはアステリア!以後、お見知りおきを」
「冒険者を助けるため?なんかのボランティアでもしてるの?」
「えっ?あ、ありがとうございます」
「ありがたいけど、これはどこで使えばいいのかしら」
「迷宮で野営……。キャンプですね」
「そんな楽しげなものでもないと思いますよ……」
「そうですか。用があった時に必ずお邪魔いたしますわ」
「テントの事、感謝いたします」
「オランピアさん、どうかお気をつけて」
「……みなさん、出立の前に一つだけお聞きしたいことがあります」
「彼女……、オランピアの事をどう感じた?」
「いいひとだと思います。このテントだって、安いものではありませんし」
「あたしはあんまり好きじゃないわ。
言いたいことをずけずけと言ってるだけって感じがした」
「き、キルシェさん、さすがにそこまでは……。
でも、綺麗なひとでしたけど……なにか違和感があって怖かったです」
「お葉。その違和感、どのような感覚でした?」
「え、えっと……。なんでしょう?
普通に話してるのに、なにか、どこか変だなという感じで……」
「そう、ありがとう。……参考になったわ」
「え?は、はい」
「ここをキャンプ地とする」
「いやだから、野営ですからね?プレールさん」
「死ぬような経験しても能天気なままなんて……、なんか羨ましいわ」
「……お葉が言っていた通り、彼女は違和感が強すぎますわね」
「単なる善意で、この危険な迷宮のど真ん中でテントなど配るものかしら」
「罠でしょうか?
このテント、調べた限りは市販のものと変わりなく見えますが」
「モノについては安心してもいいわ。しかし……」
「”タダより高いものはない”、ですね。気を許さずに行きましょう」
「魔物の気配は無し……。野営にはちょうどいい場所ですわ」
「焚き火の跡もあるわね。あそこの杭でテントも張れそう」
「あっ。テュール様、オランピアさんがいますよ」
「あら、ほんとね。……少し話をしましょうか」
「お、お久しぶりって……。ついさっき別れたばかりじゃないですか」
(先ず訊くべきことは……、これか)
「オランピアさん。あなたの活動は至極立派なものと存じます。
しかし、なぜわざわざ迷宮の中で活動をされているのでしょうか?」
(……あの表情、その言葉を待っていましたと言わんばかりね。
読めない女だわ)
「ほう、”あなたの”目的のためにですか」
「えっと、それはボクたちにもっと実力をつけてほしい、と?」
「なんかうまくはぐらかされてる感じね」
(企みを取り繕う気配も無い。ただの間抜けなのか、我々がその前に
消えるだろうという確信なのか……)
(もう少し観察するべきか?
いや、こちらが不審に思っていることを悟られるのは危険、か)
「オランピアさん、迷宮の中で気を付けることってなんですか?」
「まだ迷宮に慣れてるとは言えないので、ご教授願います」
(……!ふたりとも、良い質問ね。
その返答次第で、企みを看破できるかもしれない)
「思いもよらぬ道?隠し通路の事かしら」
「やっぱり見逃しやすいものですからね。ありがとうございます」
(やはり、簡単に尻尾は出さないか)
「そろそろ、我々は出立いたしますわ」
「ごきげんよう」
「いろいろとありがとうございました」
「まあ、またいつかね」
「お元気で」
「……誰もかれも、腹に一物抱えてそうな人物ばかりですわね」
「そうね。……この迷宮、我々の想像以上に闇が深そうだわ」
・続き⇩
https://kimagure-azuma.jp/play-sq3r-11/
・詳細なキャラ設定⇩
https://kimagure-azuma.jp/sq123r_chara/
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