さほど需要がなさそうな『創作論』シリーズ第二弾です。
ゲーム作りにおいて「名前を付けるのが難しい!」と思う方は
意外と多いものです。
私はそこまで苦手というわけではありませんが、やはりフリーゲームを
作ろうとしていたときには「どんな名前にしようか」と、かなり迷うことが
多くありました。
今回は、『スキルなどの名付け方』を解説していきます。
細かいところはちょくちょく省くので、あくまで参考程度に。
パート1:攻撃系スキルの名付け
『ドラクエ』でなじみ深い『メラ』『ベギラマ』など、一風変わった名前や、
『ファイナルファンタジー』の『ファイア』『サンダー』のような、
より一般名に近い響きの魔法名をよくご存じでしょう。
(ただし、FFは『ブリザド』など4文字に圧縮している場合が多数 )
しかし、だからと言って『メラ』や『ベギラマ』なんて名前をそのまま
自分でも・・・・・・なんてことはできるわけがありませんよね。
そこで、参考までに私なりの名付け方を紹介していきます。
※ここでは前提として『炎』系統の名付け方とします。
ほかの属性もほぼ同様の考え方として捉えてください。
それでは本題に入りましょう。
ゲームの属性としてよく使われるのはおそらく『火』だと思います。
現実のどの地域であっても、『火』というものは重要な意味を持ちます。
また、人間は落雷によって発生した『火』を使うことを覚えたことにより、
良くも悪くも今の繁栄につながりました。
『火』の属性で思い浮かぶ単語は、おそらく以下のものだと思います。
- ファイア
- フレイム
- ヒート
- フレア
フリーゲームなどでは、大体このような名称を見かけると思います。
名づけの基本は、『性質』に対する連想が中心となります。
例としては以下の通りです。
燃える→ 火が付く(現象)→ 火(原因)→ 名詞(原因を表す名前)
まあ、基本中の基本ですね。
しかし、上にある『単語の意味』はちゃんと理解できていますか?
単語の意味自体をしっかりと理解できてないと、名前を付けることは
多少なりとも難しくなります。
そこで、上の4つの単語の意味をここで確認してみましょう。
・ファイア (英:Fire)
名詞としての意味は『火』、『火炎』、『火事』、『火花』、『激情』など。
『火』の意味は燃焼することにより、光や熱が発生する状態もしくは現象。
RPGの魔法名としては良く使われるであろう単語。
多くのRPGでは、『火の玉を飛ばす』、『対象に火をつける』という描写が
されていることが多い。
基本の攻撃魔法として使うのなら、この名前を付けるのが無難でしょう。
・フレイム (英:Flame)
名詞としての意味は『燃え上がる炎』、『燃焼』、『白熱』、『激情』など。
動詞の場合は『燃えさかる』、『感情の爆発』、『他人への中傷』など。
基本的な意味合いは『ファイア』とほぼ同じであるものの、規模が大きい火、
もしくは何かに対する破壊的な感情という意味が多くあります。
このことから、『ファイア』よりも強いスキルという扱いがいいでしょう。
・ヒート (英:Heat)
名詞としては『熱』、『暖気』、『熱さ』、『暑さ』、『熱源』、『激情』、
『スパイスなどの焼けるような辛さ』、『熱のエネルギー』、『興奮』など。
動詞は『~を温める(熱する)』、『~を興奮させる』など。
『ファイア』『フレイム』と大きく違う点は、燃やすという性質が無い
単語であるということですね。(ただし、感情が燃えるという意味はある)
また、『暖気』という意味があるので、規模が大きいイメージもあります。
スキル名として使う場合は、熱波による広範囲攻撃に名付けると説得力が
出るでしょう。
物理攻撃スキルならば、『熱のエネルギー』を浸透させるという意味合いを
込めて、威力が高い、もしくは防御力をある程度無視する性質を持たせると
いいかもしれません。
・フレア (英:Flare)
名詞としては『揺らめく炎』、『炎上』、『閃光』、『皮膚の発赤』、
『アサガオのような広がり』、『感情の激発』など。
動詞は『炎が燃え上がる』、『日が照りつける』、『明るく輝く』、
『ふわりと広がる』、『感情が爆発する』、『才能を誇示する』など。
『ファイナルファンタジー』シリーズではおなじみの単語ですね。
意味合いとしては『ファイア』と『フレイム』に『光』属性を付け加えた
ようなものです。
『広がる』という意味合いがあるため、炎を広範囲にばらまくという
スキルに使うといい感じになるでしょう。
また、『閃光』という意味を拡大解釈して、凄まじい光を発する程の
高エネルギーでの攻撃に使ってもいいかもしれません。
参考までに、物質が白熱(白く輝くほどの高熱)状態になったときの温度は
約1300℃程度らしいです。(ガスバーナーの火の先端部)
パート2:範囲攻撃のスキル名をどうするか
RPGのスキルに単体攻撃しか存在しないということは、近年のゲームでは
ほとんど存在しないと思います。
上記の4つの単語も、厳密にいえば『単体攻撃に使ってもいい』単語です。
この問題を解決するために重要なのは、他の属性であっても規模が大きい
イメージがある単語を組み合わせてみることです。
現実において規模が大きいと連想できるものは『自然現象』です。
『嵐』は英語で『ストーム(Storm)』または『テンペスト(Tempest)』です。
他にも大規模な自然現象は多いのですが、どちらかというと、『嵐』の方が
名前の組み合わせに使いやすいです。
なので、火を巻き起こして広範囲攻撃を行う→ 火の嵐を起こす→
スキルの名前は『ファイアストーム』・・・・・・というように、名前を
足し算し、自然に口に出せるような名称にすることが望ましいでしょう。
当然と言えば当然ですが、範囲攻撃は消耗するMPを多めに設定します。
例えば、最大MPを『10』とし、単体攻撃『ファイア』は消費MP『3』と
設定すると、『ファイア』は最大3回まで使えるということです。
ここでもし、全体攻撃『ファイアストーム』を消費MP『2』と設定して
しまった場合、『ファイア』よりも2回多く使え、しかも全体攻撃ができる
というわけのわからない逆転現象が起きてしまいます。
威力も『ファイア』と同等以上にしてしまうと、もはや『ファイア』の
存在意義がなくなってしまいます。
なので、全体攻撃は、同属性の単体攻撃よりも必ず威力を低く、消費MPを
多めにしてバランスを取りましょう。
複数ランダム攻撃であっても、同様の調整が好ましいと思います。
パート3:治療系スキルの名づけ
RPGに無くてはならないのが、戦闘不能でゲームオーバーになるリスクを
最大限”緩和”してくれる『回復スキル』でしょう。
RPGにおける回復スキルは大きく分けると以下の3種類です。
- HP(体力)を回復する
- デバフ(ステータスに悪影響がある状態)を解除する
- 戦闘不能から復帰する
『治療する』という場合に使われる単語は以下の通りです。
- トリート (Treat 英:手当をする・治療する)
- キュア (Cure 英:治す・治療法)
- セラピー (Therapy 英:療法)
- ヒール (Heal 英:癒す・治す)
この中で、直接”傷を治す”という意味にとれるのは『トリート』ですが、
RPGにおいてはHP回復に『ヒール(ヒーリング)』と名付けられている
場合が多いため、それに倣って『ヒール』と付けるのがいいでしょう。
参考ですが、『黄金の太陽』シリーズでは、HP回復スキルには以下の
ように名前が付けられています。
- キュア(治す) → 地属性でHP70回復
- プライ(祈る) → 水属性でHP100回復
- ウイッシュ(願う) → 水属性で全体のHP80回復
- オーラ(発気) → 火属性で全体のHP50回復
現代風、もしくはSF系と違い、ファンタジー系は『それっぽい名前』で
回復スキルを表現できるので、さらに幅広い単語を使用できます。
状態異常の治療スキルは、どの状態を解除するかで名称を考えておく必要が
あります。こちらも『黄金の太陽』から引用します。
- リバイブ(復活する) → 戦闘不能(HP0)から回復
- アンチドウテ(解毒剤) → 毒・猛毒から回復
- アテンション(手当て) → 眠り・マヒなどから回復
このうち、『アテンション』はおそらく手当てという意味で使われていると
思いますが、『気付け』という意味でも当てられていると思います。
(アイテムの『きつけぐすり』も同等の効果)
回復スキルの全体版は、『ストーム』、『レイン』、『オール』と付けると
回復スキルらしい名前になると思います。
- 例:ヒールストーム、ヒールレイン、ヒールオール
当然、回復量と消費MPは範囲攻撃と同等の調整をしましょう。
また、『戦闘不能から復活させるスキル』である場合は、消費MP高めで
成功率低め(20~40%)、もしくは確定復活だが消費MPが非常に高いと
いうバランス調整をすると、戦闘に緊張感が出ていいでしょう。
パート4:補助系スキルの名付け
補助スキルは大きく分けると味方の強化、敵の弱体化の2つです。
名付けで大事であるのは、『イメージに沿っているか』ということです。
なので、ドラクエの『バイキルト(攻撃力2倍)』のような凝った名前に
しなくても、名前を見ればどういう効果なのかをすぐにわかるように
配慮するのも作り手の腕の見せ所です。
例えば、以下のように
- 名前が『フォース』・効果は『味方の攻撃力強化』
- 名前が『シールド』・効果は『味方の防御力強化』
- 名前が『フォースダウン』・効果は『敵の攻撃力弱体』
- 名前が『シールドダウン』・効果は『敵の防御力弱体』
単純すぎるかもしれませんが、”戦闘で使えば有利になる”スキルという
ことが非常にわかりやすいですよね。
また、単純な名前だからこそ複数種類のスキルを名付けやすいというのも
ポイントです。
例えば、「敵の魔法攻撃力を弱めるスキルを作りたい」と思ったとします。
とすれば、”敵の魔力”を”下げる”という効果から『マジックダウン』という
単語を作ることができ、そのままスキル名に『マジックダウン』と付ける
ことができます。
補助スキルの全体版は少し名付けにくくなるかもしれませんが、
『〇〇オール』と付けるのが無難かと思います。
もしくは、単体、全体補助スキルの名前を、それぞれで別の名前を付けて
みるといいかもしれません。
例:『敵の防御力を下げるスキル』を作るとしたとき
単体版は防御力を『鎧』と表現し、それを崩す『アーマーブレイク』
全体版は敵の群れを『壁』と表現し、それを崩す『ウォールブレイク』
全体版の効果値と消費MPは攻撃、回復スキルと同等にするといいでしょう。
もしくは、消費MPをかなり多くして効果値そのままというのも、面白い
調整になるかと思います。
パート5:スキルの強さを示す名付け
RPGには基本的に『レベル』という概念があり、このステータスは
レベルアップをした=そのキャラが強くなり、さらなる力を手に入れた
・・・・・・という表現に使われます。
なので当然、レベルが上がったから強いスキルも覚えるだろうとプレイヤーは
考えるはずです。
ドラクエにおいて、攻撃呪文は『ドラクエ8』以前までは基本的に3つの
段階に分かれており、基本的な攻撃呪文『メラ』を例にしてみます。
- 初級 → 『メラ』 1体に10程度のダメージ
- 中級 → 『メラミ』 1体に60程度のダメージ
- 上級 → 『メラゾーマ』 1体に160程度のダメージ
※シリーズや敵味方ごとに威力が変更されているため、覚えてる限りの数字
ここで注目するべきなのは、ランクが上がると名前が長くなることです。
つまり、ドラクエは呪文名を長くすることで視覚的に強い呪文を覚えたと
わかるようにしていることがわかります。
※例外は『ヒャド』系統の『ヒャダルコ』→『マヒャド』、『ホイミ』系の
『ベホイミ』→『ベホマ』など
なので、これを参考に『ファイア』を3ランクに分けてみましょう。
- 初級 → 『ファイア』
- 中級 → 『ファイアボール』
- 上級 → 『ファイアブラスト』
・・・・・・と、普通の名付けではこの程度が限界でしょう。
また、この『強いスキルは名前が長い』という考え方は、最終的にネタ切れを
起こしてしまい、珍妙なスキル名になってしまう可能性もあります。
このようなことを避けたいという人は、スキル名の後ろにローマ数字※を
付けることで、『この攻撃スキルの上位版』ということを比較的簡単に
表現できます。
※ローマ数字を使って1から順に並べると
Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ、Ⅷ、Ⅸ、Ⅹ、Ⅺ、Ⅻ・・・・・・となる。
なので、『ファイア』をこれでランク付けすると、
- ファイア ※最初のランクに『Ⅰ』を付けるかは作り手次第
- ファイアⅡ
- ファイアⅢ
- ——以下無限——
というように整然とした状態になる。
見た目は多少なりとも地味になるかもしれませんが、ネタに頭をひねる
時間を大幅に短縮できるという利点があります。
また、理屈上は無制限にランク付けができるようになるということです。
・2020/9/22追記
『理屈上無限』と上で表現しましたが、正確には4000以下の数字までは表せる
ということです。
とはいえ、個人製作のゲームで”1つのスキル”に対してランク数が4000以上に
なることはまずありえないと思われるため、あえて『無限』と表現しています。
とりあえず、今回の話はこの辺りで切り上げたいと思います。
ほんの僅かでも参考になりましたか?読み辛かったらゴメンネ!
名前を付けることは本当に難しいことですが、頑張っていい名前が
付けられた時には、きっと一生ものの何かになると思います。
あなたの創作が、きっと実りあるものでありますように。それでは。
※2021年10月6日追記
この記事の続きができました。⇩
https://kimagure-azuma.jp/theory-name-2/
リンク先は『名前の組み合わせ方』に関する内容となっています。
コメント